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越谷/孤立防ぐ子ども食堂移動型で支援届ける

6月から キッチンカー運行へ どこでも誰でも平等に

「移動式子ども食堂」実現へ向け準備を
進める、青山さん(右)と増田さん(左
「移動式子ども食堂」実現へ向け準備を進める、青山さん(右)と増田さん(左)

 越谷市内で子ども食堂「こどもかふぇ食堂ぽらむの家」を運営する青山享美さん(48)と、乳幼児のママさんを集めたイベント「神社deままマルシェ」を主催している増田具子さん(46)が手を結び、6月から「移動式子ども食堂」を開始する。「100円を握りしめて片道1時間歩いて子ども食堂に来る子がいる。キッチンカーを利用してこちらから出向き、みんなで一緒に食べる食事のおいしさを伝えたい」と、2人は実現に向けて準備を急いでいる。
 「子ども食堂のキッチンカーを作りたいんだよね」。きっかけは青山さんが親しくしている増田さんに漏らしたひと言だった。「ぽらむの家」は同市越ヶ谷本町くしている増田さんに漏らしたひと言だった。「ぽらむの家」は同市越ヶ谷本町8の3で毎週月曜日午後5~7時、大学生以下100円、大人300円で食事を提供している。だが、「地域によって来られる子と来られない子がいる。移動式にすればいつでも行ける」。
 協力企業に感謝
 青山さんは「子どもの居場所作り」、増田さんは「ママの居場所作り」と対象こそ違え、目指す方向は同じ。青山さんの考えを聞いて増田さんの心も決まった。とはいえ、資金があるわけではなく、2、3年足踏み状態が続いた。事態が動き出したのは、増田さんが越谷東ロータリークラブ(佐久間誠会長)から「クラブの補助金を受けないか」と声をかけられてからだった。
 さらに、増田さんの親戚が農家をやめることになり、軽トラックを安価で譲ってもらった。トラックの改造、食材の調達、紙皿、スプーンの購入などに充てる費用は今年1~2月、クラウドファンディングで企業向けと一般向けに分けて募ったところ、目標額200万円の2倍以上の約416万円が寄せられた。
 「子ども食堂やマルシェをやっているから、個人とのつながりはあるけど、企業にはない。越谷東ロータリークラブの方たちが企業に声かけしてくれた」と増田さんは感謝する。「ロータリークラブから補助金を頂いた時、うれしくて泣いたんです。でも、子ども食堂でご飯を食べる子もこんな気持ちなんですよね。心からありがとうと言える気持ち」と青山さんはしみじみ話す。
 寄付への返礼は子ども食堂の無料チケットにした。「企業の人も子どもも周りの人も、みんなで食べにきてほしい」と言う。
 軽トラックにはこれからボックスを積み、キッチンカーに変身させる。移動は、調理師か食品衛生管理者が乗車する。人が足りなければ、地域の人を巻き込んで手伝ってもらう。
 メニューはカレーのみ。カレーにはアレルギー対応のレトルトがあり、そういう子もみんなと一緒に食べられるからだ。
 場所は、日曜日にやっていない会社や保育園などから「使っていい」と声をかけてもらった。「行ける場所があればどこでも行く」と話す。「月1回、どこでもみんなが平等に行ける場所を作りたい。給食で命をつないでいる子もいるから」と青山さん。
 将来的には、市内小学校29校の全学区で行うのが夢。「これを食べた子どもたちが大きくなって、キッチンカーの味を懐かしんでくれたら」と、2人は運行開始を心待ちにしている。