越谷市美術展覧会 日本画や書など200点
「第22回越谷市美術展覧会(市展)」(同美術展覧会実行委員会、越谷市、同市教育委員会、公益財団法人越谷市施設管理公社共催、東武よみうり新聞社など協賛)が9日から15日まで、越谷市中央市民会館で開催された。5日に行われた審査の結果、寺本かつ子さんの「木かげ」(日本画)など5点が越谷市長賞に選ばれるなど、入賞作品43点が決定した。東武よみうり新聞社賞には、同市南町の飯室眞さん(83)の「コリウスの森」(洋画)が選ばれた。
市展は同市の芸術文化活動推進を目的として、日本画、洋画、彫刻、工芸、書、写真の6部門で実施されている。今回は計187人から211点の応募があり、このうち161点が入選。無審査出品の51点とともに展示された。
「コリウスの森」は、滑川町の国営武蔵丘陵森林公園の森でコリウスがピンクの葉を茂らせている風景を描いた水彩画。明るい日差しの中、緑の木立と、花のように美しく葉を広げるコリウスが精緻(せいち)な筆遣いで表現されている。
この公園にはよく題材探しに行っていたが、昨年夏、新聞でコリウスの写真を見てひらめき、翌日、飛んで行ったという。「森に差す光と影、澄んだ空気感を出すのに苦労した」と飯室さん。制作途中、筆が止まると再び訪れ、2か月かけて仕上げた。
飯室さんは山梨県出身。八ヶ岳や南アルプスに囲まれ、富士山を望む美しい自然に囲まれて育った。絵は子どもの頃から上手だったが、本格的に始めたのは、60歳で大手百貨店を定年退職後、水彩画教室に通い始めてから。「目の前にあるきれいな風景を絵にするのが得意」で、描くのはすべて風景画。題材を探しに、秩父などあちこちを訪ね歩く。
「筆が遅いので寡作で……」と笑う。この市展、6月の県展、秋の近代日本美術協会展と3つに出品するのが精いっぱいという。
「海なし県に育ったせいか、海や大きな川にあこがれがある。いつか川にかかる橋を描きたい」と話す。
各部の入賞者は次の通り(敬称略)。
【日本画】越谷市長賞=寺本かつ子「木かげ」
▽越谷市議会議長賞=遠藤茂則「樹根」
【洋画】越谷市長賞=長谷川栄世「坐(ざ)して幾年」
▽越谷市議会議長賞=伊藤雄二「寒村の春」
▽越谷市教育長賞=山田叔利「ハロウィン」
▽越谷市文化連盟賞=塩路民恵「熱帯の楽園」
▽東武よみうり新聞社賞=飯室眞「コリウスの森」
▽テレ玉賞=菅原宗弘「上空から」
▽奨励賞=飯嶋久美子「八月の窓辺」、加藤比佐代「蓼科」、久保理那子「アイスイカゲッソ」、佐藤満子「色づくコキア」、佐野盛太郎「フィレンツェの眺望」、高橋敏彦「森のパンセ―祈り」、中村まち子「水蓮が咲く頃」、野澤信雄「蔵のある民家」、布施利憲「瀑布(ばくふ)の轟(とどろ)き」、松村真理子「苔(こけ)色と秋色」、安富曄子「しあさって」
【彫刻】越谷市議会議長賞=内田文江「ブラック オマージュ ペルセポネ」
▽越谷市教育長賞=間中孝三「愛犬グラン」
▽奨励賞=斎藤雅子「親子」、平賀松雄「元気」
【工芸】越谷市長賞=内田文江「夢」
▽越谷市議会議長賞=日向純子「早春の大地」
▽奨励賞=岩城竹男「源氏物語より 光源氏・紫の上」、佐藤敏恵「春」、鈴木福太郎「和(なご)み」、三柴節子「湧き上がる歓声」
【書】越谷市長賞=畑澤宏和「冬になると」
▽越谷市議会議長賞=堤拓斗「為」
▽越谷市教育長賞=市川静水「和歌」
▽奨励賞=荒井正代「芭蕉四季」
【写真】越谷市長賞=黒川律子「オン ステージ」
▽越谷市議会議長賞=髙橋朗「居場所」
▽越谷市教育長賞=橋本勇「部活を終えて」
▽J:COM越谷・春日部賞=和田弘「愛のしるし X」
▽奨励賞=青木秀茂「採掘の跡」、新井美智子「スマッシュ」、磯久雄「ひまわり畑」、木村法道「相対」、津島優「朝もやに包まれて」、藤井裕一「差し込む光明」