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八潮市/猫と暮らせる賃貸 八潮に

殺処分解決への一助に 不動産会社「エンクル」

 猫限定のペット共生型住宅が12月、八潮市に完成する。同市茜町の不動産会社「エンクル」(鳥海晃平社長)が所有・管理する賃貸アパート。ペット飼育可の物件は徐々に増えてはいるものの、犬に比べて猫は敬遠されがちで、猫限定は珍しい。仲介手数料の一部を動物愛護団体に寄付するほか、入居者ができるだけ保護猫を飼ってくれるよう工夫もしている。鳥海社長は「うちの商圏である八潮、三郷両市の猫の殺処分問題解決につなげ、地域価値の向上を目指したい」と話している。

賃貸アパートに設置されたキャットウォークと鳥海社長

動物愛護団体にも寄付 保護活動に貢献

 このアパートは、TX(つくばエクスプレス)八潮駅徒歩約10分の同市垳371付近にできる「NYANCL(ニャンクル)―八潮垳―」。木造2階建てで、1LDK35平方㍍が12戸。2階の6戸はロフト付き。レンタル収納スペースが各階に3つずつある。

 各部屋とも玄関土間を広く取り、猫用トイレや飼育用品を置くスペースを確保。ペット用ドアも設置した。1階の各部屋にはボックス型の、2階には星と月をイメージしたキャットウォークを標準装備。建物の外玄関を開けると共有廊下があり、猫が部屋から戸外に逃げるのを防ぐ構造となっている。

建物の外観パース図

 賃料は月約9~12万円。仲介手数料の5%分を八潮市の動物愛護団体に寄付するほか、保護猫を飼育する入居者にはオリジナル保護猫チャリティーTシャツをプレゼントする。このTシャツは同社が買い上げ、売り上げの一部は三郷市の動物愛護団体に寄付される。

保護猫を飼育する世帯にプレゼントされるオリジナルのチャリティーTシャツ

 空前のペットブームと言われるが、賃貸物件はほとんどが犬猫禁止で、飼育可能な物件は全体のわずか数%。飼育可であっても、多くが小型犬向けで、猫は除外されているところが多い。鳴き声や排せつ物の管理などをめぐる入居者同士のトラブルや、なわばりを示すためのにおい付けや壁などでの爪とぎで、不動産オーナーのメンテナンス負担が高額になるリスクがあるからだ。

 鳥海社長は、猫を飼える物件を紹介してほしいという客の要望は多いが、なかなか応えられないことから、「それなら自分たちで造ろうと思った」という。同社がペット共生型住宅を企画したのは初めてだ。

 県では2030年までに犬猫の殺処分をゼロにする目標を掲げているが、昨年度の殺処分数は犬18頭に対し猫190頭で、「飼い主のいない猫を減らすこと」が地域課題になっている。猫専用賃貸物件はこうした課題解決の一助にもなる。収益の一部を地域の動物愛護団体に寄付し、保護猫を迎え入れて一緒に暮らすことを選んでくれた人に感謝するため、今回の企画を実施したという。

 鳥海社長は「猫を飼える物件はまだ地域に少ない。1棟丸ごと地域価値の向上を図る物件はうちの会社初。地域密着型の企業として社会貢献にもなる」と話し、「猫をペットとする際には保護猫を選択肢に入れてほしい」と呼びかけている。