月1回健康講座 知ることが安心に
吉川市在住の看護師、近江谷キヌ子さんが今年1月から月1回、地元住民を対象に、健康講座「多世代交流つむぐ会」を開いている。「知っていることは安心です」がキャッチコピーで、9月22日の第9回ではリクエストを受けて認知症を取り上げた。関心の高さから会場は満員。「身近な場所でやってもらえて助かる」「知りたいことをリクエストすると取り上げてもらえる」と大好評だ。
同市新栄のネオポリス自治会館ホールには、自治会以外からの参加者もあった。
近江谷さんは、認知症の70%を占めるアルツハイマー型は、アミロイドβ(ベータ)というたんぱく質が脳に沈着し、脳が委縮することで発症すると指摘。高齢者には特に気になる「物忘れと認知症の関係」について、「日常生活で約束を忘れたり人の名前が出てこないのは加齢による物忘れ。一方、認知症による物忘れは約束したこと自体を忘れ、本人は忘れたという自覚もない」と両者の違いを説明した。
さらに、川崎幸クリニックの杉山孝博院長が提唱する「認知症予防の10か条」を紹介。生活習慣病を予防・悪化防止する、バランスのよい食生活、よく歩き運動する、生きがいを持つ―などを日頃から実行するよう勧めた。
参加者からは「高血圧の薬を飲んで120台だが、どうしたらよいか」などと質問が出され、近江谷さんは「毎日の血圧を記録して医師に見せて」などと丁寧にアドバイス。2時間の講習会は大盛況だった。
ネオポリス自治会(545世帯)の川島富美代会長は「知りたいことがあってもお医者さんに聞きには行けない。近江谷さんのお話はとても意味あること」と話していた。
近江谷さんは長年にわたり、病院の看護部部長や看護師長、看護専門学校及び看護系大学教員などを歴任。「地元に恩返ししたい」と「つむぐ会」の活動を始めた。これまでに関節炎、骨粗しょう症、熱中症、医療機関を知っておこうなどを取り上げた。「知っていることは安心です」をキャッチコピーにしたのは、「毎日の生活習慣を考え、①病気などの予防に役立つ②もし病気になっても、医師の説明が理解できる③医師に質問ができ闘病につながる」と重要性を強調する。
「学生に教えるのと違って、平易な言葉で皆さんに理解してもらえるよう、毎回、心がけている」とのこと。参加者の反応が見えるよう車座にしたり、声が聞こえづらいという指摘を受けてマイクを使ったりと、毎回、工夫を重ね、今年いっぱいは続けていく方針だ。