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初出場で日本記録V 三郷の大学生 齊藤瑞希選手

パワーリフティング世界選手権 サブジュニア74㌔級

父親の幹郎さんと喜びを分かち合う齊藤選手(左)
父親の幹郎さんと喜びを分かち合う齊藤選手(左)


 三郷市東町の青山学院大学1年、齊藤瑞祈(みずき)さん(18)が、8月にルーマニアのクルージュナポカで開かれたパワーリフティングの世界選手権大会で、サブジュニア(14歳以上18歳以下)74キロ級で見事、総合優勝を果たした。初出場ながら、3種目中2種目で金メダル、1種目で銅メダル、しかも、1種目と総合で日本記録更新という快挙。来年はジュニア(19歳以上23歳以下)に上がるが、「自己ベストをあと55キロ更新してクラシック部門の標準記録を突破したい」と意気込んでいる。

メダル4つの快挙 他競技から転向 才能開花

 パワーリフティングは「スクワット」「ベンチプレス」「デッドリフト」の3種目でバーベルを上げ、重量を競う競技。通常の服装で行う「クラシック部門」と、体を締めつけるギアを装着し、さらに高重量を持ち上げる「エクイップ部門」がある。
 齊藤さんは、エクイップ部門に出場。スクワットは235キロで3位。ベンチプレスは172・5キロ(日本記録)、デッドリフトは240キロでともに1位。総合647・5キロと日本記録を45キロも更新し、4つのメダルを獲得した。
 「どれか飛び抜けた種目がなくて……」と謙遜するが、どの種目でも均等に力を発揮するオールラウンダーだ。

 県立草加高校に入学後、勧誘されてラグビー部に入部。筋トレのためベンチプレスを試すと、結構な重量を持ち上げられた。友人にパワーリフティング部があると教えられ、1年生の冬に転向。するとめきめき力をつけた。
 2年生の3月、全国高校選抜大会に66キロ級の友人を避けて59キロ級で出場しようとしたが、減量が進まず棄権。ヤケになって食べたら、ベンチプレスで15キロも記録が伸びた。「体重を無理に軽くするのは合ってない」と悟り、3年生の8月、全国高校大会に「無理のない」74キロ級で出場、初優勝した。
 だが、せっかく出場権を得たトルコ・イスタンブールでの世界選手権へ出発する1週間前、新型コロナ感染が判明。初の海外遠征は断念せざるを得なかった。落ち込んだ。
 今回、1年越しでリベンジを果たした。試合中、ずっとアドバイスしてくれた高校の恩師に帰国後、あいさつに行った。「パワーリフティングをやっていてよかった。意思を通してよかった」とつくづく思った。
 4月からは神奈川県相模原市の大学近くのアパートで一人暮らし。自炊も手慣れてきた。大学のパワーリフティング部の練習が週1回しかないため、授業とバイトの合間を縫って週4回、横浜の専用ジムに通っている。
 この後、11月に全国大学生大会(クラシック部門)が控えている。同部門のスクワットで日本記録の221キロを超す新記録樹立が目標だ。さらに来年の世界選手権に向けて、得意のエクイップ部門はもちろん、クラシック部門でも総合580キロの標準記録をクリアして全国大会で好成績を残し、両部門での出場権獲得を目指している。

スクワット
スクワット
ベンチプレス
ベンチプレス
デッドリフト
デッドリフト

パワーリフティング 直立して肩の後ろにバーベルを持ち、膝を曲げ伸ばしする「スクワット」、ベンチに横たわってバーベルを持ち、胸の上から上げる「ベンチプレス」、床に置いたバーベルを持ち上げる「デッドリフト」の3種目で構成。バーベルを頭上に差し上げる重量挙げとは種目が異なる。