認知症の人やその家族、専門職などの人々が参加、交流できる集いの場「オレンジカフェ」(認知症カフェ)がこのほど、「草加すずのきクリニック」(近藤威史院長、草加市高砂)で始まった。10日にはVR(バーチャル・リアリティー=仮想現実)を使った認知症体験が行われ、約20人が参加した。
VR動画は、同クリニックと提携する製薬会社「住友ファーマ」が、認知症患者とその介護者の目線で作成。「日常生活動作ー360」「TSUNAGUー360」の2本に各6コンテンツずつまとめられている。3大認知症の中でも、認知機能の変動や幻視、パーキンソン症状、レム睡眠行動障害を特徴とした「レビー小体型認知症」の体験ができる。同社が「オレンジカフェの体験に必要なら」と、VR動画を見るゴーグルごと貸してくれた。
家族や介護者らはゴーグルを付けてVR動画を体験。「心配し、真正面からぶつかっていたから、(認知症患者が)なぜできないのかと腹を立てた。ある程度は諦める心も大切」「介護者も理解できていない部分があった」などの意見が出ていた。
精神保健福祉士の笹岡紀子さんと直井妃麗さんは「身近だからこそ、ストレスなどを抱え込んでしまうことがある。少しでも息抜きをし、負担を減らしてもらえるきっかけの場所になれば」と話していた。
同クリニックのオレンジカフェは毎月第2木曜日、クリニックの2軒隣のビル2階で開催。参加費100円。事前申し込み制ではあるが、催し、情報交換・共有の場の「ほっこりゆったりカフェタイム」や、作業療法士による「お家でできる身体ストレッチ(仮)」を予定している。
同クリニックは2021年、市からオレンジカフェの委託を受けたが、コロナ禍で開催を延期。今年6月に活動をスタートし、今回で3回目となった。
<問い合わせ>「草加すずのきクリニック」の笹岡さん、直井さん☎922・3377。