三郷市上口の白川真生さん(22)が今月1日から、JICA青年海外協力隊員として東南アジアの東ティモール共和国の首都ディリにある中高一貫校で体育教師を務めている。
同国は東南アジアのティモール島の東半分を占める国で、面積は約1万5000平方㌔・㍍。人口は約130万人で、公用語にテトゥン語やポルトガル語などが使われている。16世紀にポルトガル人がティモール島を征服。その後、ポルトガルとオランダによって東西に分割統治された。1975年、東ティモール民主共和国として独立宣言したものの、翌76年にインドネシアに併合された。2002年、分離独立闘争を経て独立している。
しかし、その後、現在に至るまで生徒数の増加や教員、校舎の不足などで教育の整備が遅れているという。体育教育にも力を入れているものの、教員の指導技術が成熟しておらず、体育の授業が座学のみになっているという。
「思いやれる人育てたい」
こうした現状を知った白川さんは、今年春、大学を卒業と同時に青年海外協力隊に応募して合格。そこから2か月間、JICAの二本松青年海外協力隊訓練所でテトゥン語の研修を受けてきた。「言葉や歴史を学ぶことはその国の文化を学ぶことと同じ」と白川さん。
「僕が生まれた次の年に誕生した国です」と話し、「自分で東ティモール行きを希望した。大学で体育教師の資格を得ただけで、迎え入れてくれる国が東ティモールだった」という。
特に注力すべき点として、サッカーやバレーボールなどの実技を通して、日本人ならではのマナーやモラル、流儀などを伝えることを挙げる。昨年行われたサッカーワールドカップ(W杯)で、日本人サポーターが試合後にごみ拾いをする姿が世界で注目を浴び、複数の海外メディアでも取り上げられたことを例に挙げ、「そうした日本人の素晴らしい精神を現地の人々に伝え、人の気持ちを思いやれる人を育てたい」と力を込める。
「周りを巻き込んで、スポーツ大会を開くのも夢」という白川さんは、「現地で学んだことを、帰国後は日本での教員人生にもフィードバックさせたい」と意気込みを見せていた。