イエローチョーク作戦、草加市で本格導入
草加市は8月から路上などに放置された犬のふんなどを黄色いチョークで囲み、飼い主のマナー向上を促す「イエローチョーク作戦」を市全域で開始した。放置されたままの犬のふんなどに困っている人がいることを飼い主に伝え、ふん害を減らすのが目的。今年3月の実証実験で効果が見られたことから本格的に導入を決めた。これまで、ふん害の対策などを行ってきた同市くらし安全課職員などの関係者らは、ふん害の減少を期待している。
飼い主のモラルに訴え
「イエローチョーク作戦」とは路上に放置された犬のふんを黄色のチョークで囲み、日時を書いて、飼い主にふんを持ち帰ってもらうのが狙い。基本的にふんは片付けない。次回の見回りの際にまだふんが残っている場合はその日時を記し、ない場合には日時に加えて「なし」と記載する。
ふんが片づけられるまで繰り返すだけの至ってシンプルな方法だが、ふんをいわば「さらしもの」にすることで、地域住民の怒りを飼い主にわからせ、ふんの放置を無くすことを目的とした取り組みという。
ふん害が多かった京都府宇治市の職員が、駐車違反の車に警察官がチョークで印を付けるのを見て着想。1年間試行錯誤を経て2016年に作戦を始めると、ふん害が激減。この取り組みがメディアに取り上げられると、安価な手段で大きな効果が出ると、全国に広がった。
同市ではこれまで、ふんを持ち帰るよう注意を促した看板の設置や、市職員が定期的にパトロールを行い、回収や忌避剤の散布、放置する人を見たら声がけをするなどの対策を講じてきたものの、一向に改善する様子がなかった。
実証実験に一定の効果 マナー向上に期待
しかし、今年3月、1か月間の期間限定で、犬のふん害が多かった同市吉町内にて実証実験を行ったところ、一定の効果が見られたという。一度、町内の全てのふんを回収し、同作戦を実施したところ、新しくふんが増えていく頻度が極端に下がった。最長で10日間、ふんが見受けられない日が続いた。そうしたことから、効果があると判断し、今月からの本格実施となった。
印や日時を書きこむためのチョークは、くらし安全課の窓口や勤労福祉会館(旭町)、草加市環境業務センター(青柳)の3か所で入手することができる。黄色いチョークが2本、実施マニュアルと注意事項、ふんの回収袋がセットになっており、各施設に20セットずつストックされ、1人1セットまで。チョークがなくなった場合は再び取りに来てもらう。セットは消費されるたび、随時補充されるという。
取り組みは5日発行の「広報そうか」や市のホームページ、町会・自治会に協力を依頼するための回覧板などで周知徹底を図るという。
担当する同市くらし安全課職員は「今回の作戦を機に、飼い主のモラルやマナーが向上することに期待すると同時に、犬のふん害が1件でも市内からなくなり、きれいなまちになるといい」と話している。