所属クラブ初の全国
4月に発足した越谷市の陸上クラブ「アスリート侍」(岩田勝彦監督)所属の小学5年生男子選手が、2日に熊谷市の熊谷スポーツ文化公園陸上競技場で行われた「第39回県小学生陸上競技交流大会(日清食品カップ)」の5年男子100メートルで見事優勝した。9月17日に横浜市の日産スタジアムで行われる全国大会に、同種目では唯一の県代表として出場する。同クラブからの全国大会出場は初めてだ。
優勝したのは、越谷市立蒲生小学校5年の屋形珠羽(やかた・しゅう)君(10)。予選は13秒97で、2位に0・07秒差をつけて堂々のトップ通過。だが、決勝は2位にわずか0・01秒差。見た目ではどちらが勝ったのかわからず、電光掲示板に勝者のレーン「3」が表示された瞬間、屋形君も、見守っていた母の恭子さん(34)や岩田監督、チームメートらもうれし涙に暮れた。強い向かい風の中、13秒93と記録を伸ばしての勝利だった。
実は2位の選手には、昨年6月には勝ったものの、10月と今年5月に2連敗している宿命のライバル。「これまでラスト10~20メートルでさされて(追い抜かれて)きたので、走り方、フィニッシュの仕方を考えて練習してきた」と岩田監督。ラスト30メートルで一度息を吐き、体を締めてピッチを上げる「秘策」を村山健児コーチが授けた。小学生は、どうしても最後にスピードが落ちてくるので、落ち幅を小さくする狙いだった。「それがうまくハマった」という。屋形君も「そこは意識した」と話す。
恭子さんは「負けてから頑張ってきたので、勝てると信じていた」と言いつつも、「(接戦で)安心して見ていられるわけではなかったから……」と涙の理由を明かす。
全国大会まであと2か月。屋形君は「全国でも絶対、決勝に行きたい」と意気込む。ただ、岩田監督は「まず疲れを取ること。しっかり学校生活を送り、家で手伝いなどもした上で、陸上を頑張ってくれるのが理想。練習すれば速くはなるが、人として成長してほしい」という。
この大会では、「アスリート侍」から出場した6人中5人が決勝に進むという快挙を成し遂げた。保護者の手厚いサポートと抜群の団結力が同クラブの強みだ。
屋形君とともに優勝に一番近いと見られた中村日南(ひなみ)さん(同市立桜井小5年)(11)は、惜しくも5年女子100メートル決勝で2位となり、全国大会出場を逃した。だが、「彼女らチームメートと切磋琢磨(せっさたくま)してきたからこそ、珠羽はここまで頑張れた。来年は2人とも必ず全国に連れていく」と岩田監督は決意を新たにしている。