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発達障害児に居場所作り 越谷のNPO

専門的支援を個別に 「生きにくさ抱えず相談を」


運営の中心となっている池田さん、松永さん、今井さん(左から)
運営の中心となっている池田さん、松永さん、今井さん(左から)


 松伏町に今月、児童福祉事業所「カラフル」がオープンした。運営するのは合同会社スコップ(松永乃吏子(のりこ)代表)。越谷市近辺の作業療法士で作る特定非営利活動法人スコップ(松永代表)が、活動の幅を広げるために会社を設立した。現在、近隣地域から不登校などの児童生徒計約20人が通い、友人と話したり勉強や楽器の演奏をしたりして充実した時間を過ごしている。松永さんは「子どもさんが生きにくさを抱えている方は相談を」と話している。
 「カラフル」は多機能型・児童福祉サービス(放課後等デイサービス、未就学児の児童発達支援、保育所等訪問支援事業)の事業所だが、発達障害に特化している。具体的には、ASD(自閉症スペクトラム症)、ADHD(注意欠陥多動性症)、SLD(限局性学習症)のアセスメント(評価、実態把握)と支援を得意としている。学校や他のデイサービスになじめなかった経験のある子どもたちでも楽しめるように工夫している。
 運営の中心となっている松永さん(41)は作業療法士であると同時に、自立支援専門員、社会福祉士、保育士でもある。事業所の管理者、今井隆一さん(50)は介護福祉士。池田将人さん(33)は調理師、自動車整備士で、何でも遊びに変える「遊びのソクラテス」だ。
 オープン時間は月曜から土曜の午前10時から午後7時まで。小学生から高校生までの利用者は、越谷市近辺の各家庭や学校から車で送迎してもらう。
 民家を借り上げた施設には、子どもたちがくつろぐ広間や食堂のほか、コンピュータールーム、ピアノを備えた音楽室、ハンモックの部屋などがある。決められたスケジュールと決まりはなく、日によって食材の買い出しに同行したり、釣りをしたり、通信制高校の課題をこなしたりと、自由に過ごしている。みんな仲が良いのも特徴だ。
 池田さんが料理の腕を生かして用意する昼食も子どもたちには大きな魅力。取材した日のメニューはシーフードチャーハンで、子どもたちは「うまい!」を連発していた。
 松永さんは「居場所を作っただけでは、子どもたちは伸びていかない。専門的な支援が必要」と話す。さまざまな分野の専門家が集まっているのも、一人一人異なるニーズに的確に対応するためだ。
 「どんどんニーズが掘り起こされているので、いずれ拠点を2か所に増やさなければならないかもしれない」と松永さんは話している。
 <問い合わせ>児童福祉事業所カラフル 松伏町ゆめみ野5の9の5。☎080・8839・2778。

 松永さんは2020 年2月、作業療法士5人で市民活動団体スコップを立ち上げ、結婚式場を運営する企業の協賛を得て、子ども食堂の運営を開始した。
 さらに今年1月、活動を広げるためメンバー5人を新たに加え、NPO法人化。子ども食堂のほか、学習支援教室やなんでも相談などの活動を展開している。
 こうした中、放課後等デイサービスのような公的機関などによる制度に基づく「フォーマルサービス」を受けていても、生活課題を解決できずにいるケースを知り、こうした公的サービスとNPOなどによる「インフォーマルサービス」の間を埋めるための事業所設立の必要性を痛感。運営母体として合同会社を設立した。