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八潮市/テディベアで世界最高賞 作家の石橋さん

 ドイツ・ミュンスターで4月29、30日の両日、世界最大のテディベアショーが開かれた。その中で開催されたコンテストで、八潮市のテディベア作家、石橋美帆さん(40)の作品が見事、優勝を飾った。5年前にテディベア制作を始め、挑戦わずか2年目で初ノミネート、初優勝という快挙。石橋さんは「ありがたい思いでいっぱい」と喜びをかみしめる一方で、今後さらに世界の各賞を狙う意気込みを見せている。

発祥の地ドイツのコンテスト

自身の作品に囲まれる石橋さん(手に持っているのが今回受賞した作品とトロフィー、それ以外は国内の別コンテストでの受賞作品)

コンテストは「テディベアトータル」というショーイベントの中で行われる。初挑戦の人や「ゴールデンジョージ賞」を受賞したことのない人のプレミアムクラス、同賞受賞者のみが挑戦できるマスタークラスがある。両クラスの下にカテゴリーがある。
 カテゴリーごとに写真審査により候補者を選出。選出された人は現地に作品を持ち込んで審査を受け、賞が決まる仕組み。作品の提出期限も短時間で、厳しい審査が行われている。

挑戦2年目の快挙 さらなる活躍に闘志

 「ゴールデンジョージコンテスト」で受賞したテディベアの作品名は「My Darling.(マイ・ダーリン)」。プレミアムクラスのカテゴリー「クラシックテディベアインターナショナル」部門で最高賞を射止めた。

 受賞作は愛らしい作品が多い、自身のオリジナルテディベアブランド「Sugar Pumpkins(シュガー・パンプキンズ)」の中でも少し変わった作品で、青年らしい大人びた印象をイメージして作られている。
 ドイツのモヘアを使用しているほか、手足の肉球の部分には豚革を使っている。また、鼻はフィギュア原型師の頃の経験を生かし、型取りでオリジナルのパーツを作り、爪には縫い付けた糸の上からレジン素材で加工するなど、さまざまな素材で表現している。
 特徴的なのが半開きの口。口の中(舌周辺)を内側から縫い込んで閉じ、表側は開口気味の表現になっている。

 「細かい工夫が評価されたと思う。テディベア制作は全て独学だからこそ、枠にはめずにいろいろ試せる」と石橋さん。それだけに、「歴代の受賞作品から見ても、私の作品は異質。審査員の人たちに受け入れてもらえるかが私の作家としての挑戦であり、勝負どころだった」と話す。
 受賞したことで、このベアの名前はコンテストの名を冠した「ブラウンシュガージョージ」に決まった。
 今後は「さらなる販路拡大に力を入れながら、世界の各賞を狙いにいきたい」と闘志を燃やす。

コンテストの名を冠した「ブラウンシュガージョージ」

 石橋さんは東京都八王子生まれ。幼い頃からウルトラマンの怪獣や仮面ライダーの怪人のイラストやフィギュアに興味を持った。都立片倉高校造形美術コース、横浜美術短期大学グラフィックデザイン科を経て、国内の特撮ヒーローやアニメなどのキャラクターフィギュアの「原型師」として三郷市の玩具メーカーに入社した。
 2009年に結婚を機に退社し、13年に双子の長男次男を出産した。その頃、偶然テディベアのキットを購入。「せっかく作るならいい物を」と作家魂に火が付いた。17年、「atelier(アトリエ)公夢印(こうむいん)」を立ち上げ、自身のオリジナルブランドで、オールハンドメイドの人形制作を開始した開始した。18年には三男を出産し、母親業の傍ら、制作活動に励んでいる。
 <問い合わせ>「Sugar Pumpkins」https://www.sugarpumpkins.com/