越谷市と小鹿野町は、小鹿野町が所有する森林の一部を「こしがや・おがの交流の森」として整備するため、1日に小鹿野町役場で協定を締結した。役場議場で開かれた「締結式」には越谷市の福田晃市長、小鹿野町の森真太郎町長ら関係者らが出席した。同協定の締結は県内の自治体同士では初めて。
同協定により、越谷市は、森林の保全や地球温暖化対策を推進するとともに、森林を活用した自然体験を伴う保健・教育・文化的観光交流事業を実施していく。
同協定は、2021年8月に埼玉県が森づくり課内に設置した「埼玉県山とまちをつなぐサポートセンター」のマッチング事業で成立した。越谷市は「森林環境譲与税」を活用して、小鹿野町に「こしがや・おがの交流の森」(面積約1・5ヘクタール)を整備する。これにより、「埼玉県森林CO2(二酸化炭素)吸収量認証制度」に基づくカーボンオフセット(日常生活や企業活動で発生するCO2を森林による吸収などで埋め合わせること)の実施や、越谷市民を対象とした植樹体験、環境学習などに取り組み、相互交流を図っていく。
森林環境税は、来年度から個人に対して課税される国税。市区町村で個人住民税均等割と併せて1人年額1000円が課税される。その税収は、全額が「森林環境譲与税」として都道府県・市区町村へ譲与される仕組み。「譲与税」は、都道府県・市区町村が、それぞれの地域の実情に応じて森林整備などの事業を幅広く弾力的に実施するための財源として活用される。
一方、小鹿野町は、森林整備の予算削減や、25年度に小鹿野町と秩父市にまたがる「秩父ミューズパーク」で開催される「第75回全国植樹祭」などのイベントのPRにつなげていく。
「交流の森」の候補地は、小鹿野町役場の西側、道の駅「両神(りょうかみ)温泉薬師の湯」(小鹿野町両神薄すすき2380)から徒歩2~3分の距離で、標高340~400㍍。広葉樹と針葉樹のエリアに分けて植樹し育てる。
越谷市環境政策課の西岡宏城課長は「道の駅には温泉もあり、近くには宿泊施設もある。森林を散策して観光もできる」と話している。
小鹿野町に「交流の森」 県内初、越谷市が整備へ協定