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貴重な浮世絵を一堂に 越谷 染谷さんのコレクション

歌川豊国の浮世絵が展示されている会場を訪れた染谷三夫さん(左)と妻の賢子さん(越谷市市民活動支援センターで)
歌川豊国の浮世絵が展示されている会場を訪れた染谷三夫さん(左)と妻の賢子さん(越谷市市民活動支援センターで)


 越谷市市民活動支援センター・展示コーナーで、油長内蔵(あぶらちょううちぐら)運営協議会企画「越ヶ谷蔵物語第3幕 鳶(とび)の親方・染谷家の蔵」展が30日まで開かれている。越谷市越ヶ谷の鳶職親方、染谷隼生(としお)さん(今年1月、96歳で死去)所蔵の貴重な浮世絵や版画などのコレクションが展示されている。
 展示第1弾は「三代目歌川豊国とその弟分・弟子たちの浮世絵」。染谷家の蔵に収蔵されてきた浮世絵。敗戦直後、越谷に買い出しに来た東京の人が、現金の代わりに置いていった。幕末から明治維新にかけて制作された浮世絵で、3代目・歌川豊国(初代国貞)とその弟子たちの作品を中心に展示されている。
 豊国の「青砥稿花紅彩画(あおとぞうしはなのにしきえ)」は1862年(文久2年)の作。白波五人男の稲瀬川勢揃ぞろいの場を描いたもの。「白波五人男」は歌舞伎演目の一つ。5人の盗賊を主人公にした物語で「青砥稿花紅彩画」はその代表作。展示されている浮世絵は保存状態が良く、傷やしみなどがなく、色あせもしていない。このほか「忠臣蔵」を題材にしたものや、「花盛春長閑(はなざかりじゃるのどか)」という、遊郭・吉原の夜桜の情景を描いたものもある。
 染谷さんは1926年(昭和元年)、越谷生まれ。41年、越ヶ谷高等尋常小学校を卒業後、家業の鳶を継ぎ14歳で親方に。戦時中は軍事工場や陸軍の「論田(ろんでん)飛行場」(市内小曽川)建設工事を手がけ、戦後は住宅建設をはじめ区画整理事業にも取り組んだ。
 同展示の企画団体である「油長内蔵運営協議会」は、長年にわたり染谷さんの蔵に保存されている品々を調査するとともに、染谷さんへのインタビューも行い、今は知る人も少なくなったかつての越谷の姿を記録してきた。
 染谷さんの長男、三夫さん(69)(染谷コンクリート社長)と妻の賢子(さとこ)さん( 64 )も会場を訪れ、作品を鑑賞した。三夫さんは「こんな貴重な浮世絵を保管していたとは知らなかった。几帳面な性格なので、蔵でコレクションしていたのでは」と振り返る。三夫さん自身もチョウの標本を集めるのが趣味で「収集癖は親ゆずりかも」と笑う。
 5月3日から28日は「歌川広重『東海道五十三駅風景続画』と坂本義信『土佐三十絵図』」展。6月1日から25日までは「合巻・読本(草双子)、双六、絵図」展が開かれる。いずれも入場無料。
 <問い合わせ>越谷市市民活動支援センター☎969・2750。