ママは創業者||。草加市はフルタイム労働を前提にしない、子育てと並行可能な創業を支援する女性創業スタートアップ事業「わたしたちの月3万円ビジネス」事業を実施。3月11日に同事業に参加した12人の女性による“卒業イベント”の「3ビズマーケット」を開催し、多くの市民が買い物などに訪れた。このイベントで12人は独立し創業者としてスタートした。やりたいことや得意なことから小さなビジネスを生み出し、月に3万円を稼ぐ「3万円ビジネス」。創業の新しいモデル、子育て世代の新しい働き方として注目されている。
「3ビズマーケット」の会場となった草加市八幡町の八幡西公園には12人の創業ママたちの商品販売やサービス提供のブース(テント)が並び、好天とあって多くの人が訪れた。
開催直後に行列となったのは、天然酵母で作ったベーグルを販売する「NANA×IRO(なないろ)ベーグル」。「青のりチーズ」や「きんぴらごぼう」、「ベーコンマンゴー」などユニークなベーグルばかり180個が並び、約1時間で完売した人気ぶり。
このベーグルを製造・販売したのは、市内の主婦、北國良美さん(39)。3歳と7歳の息子を育てるママでもある。北國さんは長男が乳幼児期に「卵アレルギー」があることが分かり、卵不使用のパン屋に行き、購入していたが、「毎回パンを買っていてはコストパフォーマンスが悪い。(パンは)自分で作れるし、自分で作ろう」と自宅で卵不使用のパンを作るようになった。
このパン作りがきっかけとなり、自分も好きなベーグルを作ると、「様々な味の組み合わせを包み込む面白さにはまってしまい」(北國さん)、ベーグル作りが趣味に。作ったベーグルを家族や友人たちにプレゼントして食べてもらっているうちに、「もっとたくさんの人たちに味わってほしい」と自身で創業することを決意し、草加市の「3ビズ」講座に参加することにした。昨年10月に受講し今年3月までに6回の講座に参加した。
北國さんは「受講して、これまで『〇〇ちゃんママ』と呼ばれていたのが、ビジネスの場では一人の女性として扱われ、共にビジネス創業という同じ目標を持つ者として、切磋琢磨しあえる仲間ができたことが良かった」と振り返る。
北國さんの作るベーグルは卵、乳製品、保存料不使用が特徴。今後は、市内にあるシェアキッチンを使用して製造・販売から始める。対面販売にカフェなどの卸売りなどで販路を広げ、「いずれ自分の工房を構えるのが夢」と語る。
会場ではこのほか、ホームページ作りをサポートする「Me Home」ブースには、ホームページ作りの初歩から来場者にアドバイスしていた。出展者のデザイナー・高橋美穂さん(39)も幼い子を育てるママ。「個人で仕事をされている人に向けて、その仕事の魅力をホームページでアピールしたいと事業を立ち上げました。難しそうなイメージのあるホームページをもっと身近に感じてほしい。試行錯誤しながら前に進んでいきます」と決意を話した。
会場を訪れたパート、藤間亜由美さん(39)は「自分もいつか創業したいと考えているので、会場に来ました。素敵なブースばかりで楽しいですね。勉強にもなります」と話していた。
このほか、創業者は「米粉のパン」販売や「アロマキャンドル」の販売とワークショップ、「クラシックバレエ」教室などユニークなものばかりで来場者を楽しませていた。同市の髙橋浩志郎・自治文化部副部長は「卒業生は地域のイベントに出店したり、ワークショップを開き、講師として活躍するなど、小さなビジネスを通して地域とつながっている。家族みんなでお母さんのチャレンジを応援する家庭も増えています」と話していた。