松伏町で養殖される高級川魚「ホンモロコ」の出荷がピークを迎えている。ホンモロコを育てているのは同町金杉の「渡辺養魚場」。神谷(みたに)俊行さん(50)が会社員との2足のわらじで養殖を続けている。同養魚場では直売もしており、ホンモロコの濃厚なうまみとふっくらした食感を求めて、県外からも買い物客が訪れている。
ホンモロコはもともと、琵琶湖(滋賀県)の固有種だったが、30年前に埼玉県が休耕田を活用した養殖技術を確立し、現在県内15か所で養殖。全国一の産地になっている。「彩のもろこ」のブランド名で出荷される県名産品。飼育水は井戸水だけを使用し、薬剤は一切使用しないなどの厳しい県の基準がある。
松伏町の「渡辺養魚場」は2000年7月に、当時の農業、渡辺正和さん(2015年2月に死去)が、自前の水田の一部を養殖池に代えて養殖を始めた。現在も同町唯一のホンモロコの養殖池。県水産試験場の講習を受け、自宅隣接の水田(約500平方㍍)9面を池にして始めた。 井戸を掘って各池にポンプで水が送れるように改修し、水温が一定するようにプロペラ式のかくはん機も設置した。
渡辺さんが亡くなる前から、長女の神谷敦子さん(53)の夫の俊行さんが跡を継ごうと10年前から、会社に勤めながら、養殖技術を学んだ。今では自家採卵もできるようになり、4月ぐらいになると、専用の繁殖池にホンモロコを放し、受精から採卵、ふ化まで、すべてできるようになった。まさに正真正銘の松伏産のホンモロコを育てている。
普段の販売は渡辺さんの妻、渡辺和子さん(75)が行っている。俊行さんは「井戸水を循環させ、常にフレッシュな水で育てているため、川魚ながら臭みのない、上品なうま味が特徴です。多くの方にホンモロコの魅力を伝えていきたい」と話す。
ホンモロコは順調に育つと体長10㌢から15で㌢ほど。関西では高級魚として料亭で使われ、塩焼きや甘露煮、天ぷら、すしだねに利用されている。埼玉のホンモロコは体長約8㌢ほどのやや小ぶりで、主に唐揚げや甘露煮に利用されている。
「渡辺養魚場」では2月末まで販売する予定。価格は100㌘350円。俊行さんは「埼玉県ブランドの『彩のもろこ』として販売しています。濃厚なうま味を味わってほしい」と呼びかけている。
<問い合わせ>渡辺養魚場(松伏町金杉1552、営業時間午前9時~午後4時、毎週日曜日、月曜日定休)TEL991・3849。
ホンモロコの販売ピーク・松伏「渡辺養魚場」井戸水で養殖