越谷市に伝わる民謡の保存と伝承を目指す市民団体「越谷伝承民謡民舞保存会」(江川麻裕美・会主)が10月5日午後1時から、同中央市民会館劇場で、初のイベント「越谷の民謡~魅力にふれるつどい」を開催する。
「全国各地に民謡があるのに越谷では聞いたことがない。きっとあったはず」と同保存会の会主(代表)で民謡歌手の江川さん(75)(同市南越谷)は、1977年から市内の高齢者宅を訪問し聞き取り調査を始めた。
唄好きな高齢者が、かすかに記憶していたものを掘り起こして採譜するという地道な活動を続け、96年までに約30曲を集めた。そのうち15曲を譜面化し、同年3月、「越谷民謡集」を刊行した。夫で文教大学教育学部教授(当時)の阿部正臣さん(83)が編集をサポートし、民謡を解説した。
「つどい」では、民謡集の全15曲を「保存会」メンバー30人が、唄や三味線、太鼓、踊りなどで披露する。「越谷の祝い唄」や「越谷追分」、「越谷の相撲甚句」など越谷の民謡のほか、「佐渡おけさ」など全国の民謡10曲も演奏する。
同市は江戸時代から旧日光街道の宿場町として栄え、越谷には田植えの時の「仕事唄」、収穫を喜ぶ「万作踊り唄」など5種類の唄が伝えられてきたという。
同保存会メンバーは、本番に向けて同市大沢地区センターなどで稽古に余念がない。江川さんは「子どもからお年寄りまで越谷の民謡を知ってもらいたい。ふるさとの唄として、懐かしい存在になってくれれば」と話す。
入場料は1人499円(当日券なし)で事前申し込みが必要。
<入場券の申し込み>越谷伝承民謡民舞保存会の江川さん☎090・4176・6973、阿部さん☎974・9133。
越谷の民謡を発掘・民謡歌手が聞き取り調査