草加市内の皮革業者の有志チームが、害獣駆除されたシカなどの原皮を、なし加工や染色、製品化し、再び地元に帰すプロジェクトに取り組んでおり、注目されている。今秋には、長野県青木村で駆除されたシカの原皮を受け入れ製品化する事業も進行中だ。
豊富で良質な地下水を求めて、昭和10年代頃から都内の皮革業者が移転するなどして、草加は皮革の一大産地となった。有名ブランドのOEM(製造供給)を手がける企業もあって、技術力には定評がある。
14年前、12社が「レザータウン ソウカ プロジェクトチーム」(同市中根、河合産業内)を立ち上げ、武州和牛のエコレザー製品、アウトドア用品などを手がけてきた。
駆除動物の皮を「加工して戻す」取り組みは2016年から。西秩父商工会(小鹿野町)から相談されたのがきっかけ。駆除したシカの肉はジビエ料理などに利用されるが、原皮は廃棄処分されていたため、草加で小銭入れなどに製品化され、秩父で販売されている。現在、北海道など6地域の原皮を受け入れている。
同チームは昨年10月、「U―TaaaN(ユーターン)レザー」と名付け本格的に事業をスタート。3つの「a」には、アフェクト(関わる)、アシスト(支援する)、アベイル(役に立つ)の理念を込めた。首より下に銃弾がないこと、冷凍したもの―などが受け入れ条件という。
同プロジェクトの広報・コーディネーターの河合泉さん(53)は「草加は、なめし、染色からデザイン、縫製・仕上げまでの工程ができる強みがある。その技術力や新たな創造力をプロジェクトでアピールしていきたい」と話している。