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空き家防ぐ「終活」の勧め・越谷市がガイドノート作成

 空き家急増が社会問題となっている中、越谷市は空き家予防の取り組みとして、「住まいの終活ノート」(A4判、20㌻)を作成した。居住中から相続に備えておくべきことなどをわかりやすく解説したもの。同市建築住宅課職員らが、空き家対策に取り組んできて得た課題や経験をもとに作成したオリジナルのガイドブックで、相続など家族で話し合うきっかけにしてもらいたいとしている。基本的情報を書き込む“エンディングノート”にもなり、所有不動産の調べ方など、すぐに役立つ情報を載せている。同市は今年度から空き家活用の補助制度も設けており、このノートと併せて、空き家の予防、抑制に取り組む方針だ。

 「住まいの終活ノート」ではまず、空き家をそのまま放置しておくと、「庭木や雑草が生い茂り、蚊や蜂の発生原因となり、近所の迷惑になる」「不審者が侵入したり、放火による火災の危険性が高まる」などのリスクがあり、「所有者が責任を問われることがある」などと注意を喚起している。
 そのため、相続が重要となるが、相続人を整理するために自身の家系図を書くことを勧める。自身と配偶者の父母、兄弟・姉妹、おいやめい、孫まで書いてみる。また、「法定相続人」についての説明があり、ノートには亡くなった人の配偶者に加え、子、父母、兄弟姉妹の順に相続人を記入できるようになっている。
 不動産については所在地、所有者(共有の場合、持ち分も)、地目や面積などを記入する項目があり、不動産の調べ方や2024年度から申請が義務化される予定の「相続登記」についても触れている。
 「将来の希望」として、「所有し続ける」「手放す」「分からない」のいずれかを選択し、それぞれについて「今からできること」を解説している。例えば、「所有し続けて」、さらに「住む」場合には、「家財や財産を整理し、家族と話し合いを」とし、「遺言書の作成、任意後見制度、家族信託などで備える方法」などをアドバイスしている。遺言者が自筆の遺言書を法務局に預ける新しい「自筆証書遺言書保管制度」や、認知症対策についても解説している。
 同市建築住宅課によると、さまざまな理由で空き家の荒廃が進み、所有者を探し当て、「適正管理」を求める文書を出しても、相続放棄が相次いで最終的に空き家になるケースがあり、多くの時間や手間をかけても解決に至らない場合もあるという。
 同市は今年度から空き家を子ども食堂や地域サロンに活用するための改修補助金30万円の助成や、解体するための補助金(30万円、最大で50万円)を交付する。
 岩本昌幸・建築住宅課長は「終活ノートによる予防・抑制をはじめ、補助事業の実施で空き家が一つでも減るよう努めていきたい」と話す。
 市民団体「越谷市住まい・まちづくり協議会」の若色欣爾会長(75)は「空き家の所有者から、子ども食堂や地域サロンに、という声が多くニーズが高い」と補助金制度を評価する。
 「住まいの終活ノート」は初回、760部作成し、市役所や各地区センター、各老人福祉センター、市社会福祉協議会などで希望者に配布している。同市ホームページからもダウンロードできる。