越谷市谷中町の県立越谷総合技術高校(市村洋子校長、生徒622人)の食物調理科3年生6人が、地元農家と協力して地元産小松菜に合った、オリジナルのカレースパイス「小松菜のための こしがやカレーMixスパイス」を開発。オリジナルスパイスお披露目となる初の販売イベントが5日、越谷駅東口の観光物産拠点施設「ガーヤちゃんの蔵屋敷」で開かれ、販売開始前から約40人が行列するなど大盛況だった。
同カレースパイスは、同市が地場産農産物の普及を目的にした事業「こしがや“彩り”レシピ2021」の一環として開発されたもの。高校生たちは、小松菜の収穫体験をはじめ、地元レストランのシェフのアドバイス、同市観光協会の販売サポートなど地域の全面支援を受け、研さんの成果の商品化にこぎつけた。
販売イベントは6人の生徒全員が参加。卒業前の最後の“ビッグイベント”とあって、最初は緊張していたが、多くの同級生たちが買い物に訪れ、すぐに緊張はほぐれ、明るい表情と声で「いらっしゃいませ」など対応していた。この日は市内小曽川の農家で市内若手農家でつくる「越谷市グリーンクラブ」会長の増田将之さん(39)が全面協力し、越谷産の「小松菜」を1束150円で販売。小松菜の購入者に無料で同カレースパイス(定価390円)を無料で配布するもの。訪れた買い物客は小松菜を3~4束ほど購入する人が多く、“販売員”となった高校生たちから小松菜とスパイスを受け取ると「これからも頑張って」と声をかけられていた。
一番乗りで小松菜を購入した市内の齋藤瑠那さん(18)(越谷総合技術高3年)は「クラスメイトがスパイスを作ったので、楽しみで買いに来た。小松菜は好物の野菜なので、家でカレーを作って家族で味わいたい」と笑顔話していた。
同スパイスを開発した1人、楡依玖美さん(18)は「学校行事などと同時に進めるのは大変でしたが、貴重な体験となりました。初めての小松菜収穫はとても難しく、食材のありがたさをあらためて感じました。今回のことは、将来の仕事に役立つと思います」と元気に話していた。
担当の上野理恵教諭は「小松菜の収穫体験などにも携わることができて、教員としても貴重な体験だった。生徒たちは学校行事などで忙しい時期に頑張った」と話していた。この日は、生徒たちに指導もした、カレー研究家のスパイシー丸山さん(47)も参加し、同カレースパイスを使った調理方法の披露もしていた。
コロナ禍で米や野菜の消費が落ち込んでいるため、同市は、地元産の農産物の消費拡大を目指し、同高校に「越谷産米・野菜に合う」をコンセプトとしたレシピ開発を依頼した。
これを受けて同校食物調理科の生徒たちは、「ごはんが進む」「野菜をさらにおいしく」「どの食材を入れても合う」「万人受けする」「変幻自在な料理」――をテーマに、昨年8月から、オリジナルのカレースパイスに取り組んだ。何度も失敗し、挫折しそうになりながらも、「小松菜に合うものを」とアイデアを出し合って、昨年末、複数のスパイスを調合した納得のいくスパイスが完成した。
オリジナルカレースパイスは一般社団法人「越谷市観光協会」が商品化し、5日から「ガーヤちゃんの蔵屋敷」で1袋390円で販売している。また、今回の開発ストーリーは同市ホームページからユーチューブ(オンライン動画共有サービス)で見ることができる。
大好評「小松菜カレー」・越谷総合技術高生徒が考案