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「困り事相談は私たちに!・越谷に「桜井 笑顔の会」発足

 「庭の草刈りを」「話し相手になって」――こんな“ちょっとした”要望や困りごとに、「有償」で応える住民組織がこのほど、越谷市桜井地区に誕生した。「桜井 笑顔の会」(川村耕治代表)。高齢者や障害者らの生活を住民が支援するサービス。利用する「利用会員」は、100円から1000円の料金を支払い、サービスを提供する「協力会員(担い手)」は、活動費(数百円程度)を受け取る。利用は地区民に限るが、「無料ではためらっても、費用を払うなら頼みやすい」一方で、「担い手のやる気にもつながる」と好評。住民の交流も促進され、“1石3鳥”の効果。新しい生活支援の方法として注目されそうだ。

 ユニークな住民組織は地域での支え合いを市民が集まって話し合う「桜井地区地域支え合い会議」から発足した。同地区は2013年9月、竜巻により約600棟が住宅被害を受け、多くの市民ボランティアの支援を受けた。同市桜井地区連合自治会の会長でもある川村代表(69)らが、「住民同士の助け合いの大切さを痛感した」のが、「笑顔の会」発足のきっかけだった。

 2019年度に自治会長らが、「地域支え合い会議」を立ち上げた。同市社会福祉協議会の協力で昨年7月、サービスの「担い手」を養成する研修を実施し、福祉や介護の専門知識を学んだ。また、介護予防が目的の「同市総合事業住民主体サービス」に登録し、年間12万円の事業費が支給された。

 こうして昨年9月、「笑顔の会」がスタート。市の協力で毎週火曜、老人福祉センター「くすのき荘」の和室を事務所とし、依頼を受ける専用電話を設けた。回覧板で告知すると早速、残暑とあって「草刈り」や「窓ふきや風呂掃除」などのほか、買い物代行やごみ出し、調理、話し相手――のなどの注文が殺到し、担い手は各家庭を走り回った。

 費用は「ごみ出し」は1回100円、「草刈り(30分まで)」600円、「買い物代行」300円など。このうち、ボランティアの「担い手」には「ごみ出し」100円、「草刈り(30分まで)」500円、「買い物代行」は1時間300円が支払われる。利用した80代の女性は「腰が痛くて草刈りを依頼した。丁寧にやってくれよかった。また利用したい」と喜ぶ。

 川村代表は「費用負担で住民も頼みやすい。担い手も収入があり、やる気につながる」とし、「一人暮らしの高齢者の見守り活動にもなっている」と活動の手応えを感じている。

 担い手でもある同会副代表の福島茂樹さん(80)は「話し相手の要望も多い。この活動が桜井地区の“文化”になれば」と期待する。同じく担い手で副代表の岡崎とし子さん(72)は「調理の手伝いに行っている。女性同士だと話に花が咲き、話題が絶えない」と話している。

 同市の関泰輔・地域共生推進課長は「高齢者の一人暮らしが増え、地域の見守りや支え合いが重要になっている。笑顔の会は住民アイデアによる素晴らしい取り組み。各地域で広がっていくよう、市としても支援していく」と話す。

 同会は今後も担い手(現在22人)を増やす予定だ。