越谷市はこのほど、市内増林地区の市道沿いに、「都市型農業」の魅力を発信し、防災拠点の機能を持つ「道の駅」を整備することを決めた。対象地は、「越谷いちごタウン」に隣接する約4・2㌶。国道や県道に面していないため、整備は市単独負担による「単独型」の道の駅になるになる予定。観光イチゴ農園が近くにあるため、関東一円からの集客を見込めるとしている。同市は、20日から16歳以上の市民3000人(無作為抽出)を対象に電子メールによるアンケートを実施して、「どういう道の駅を望むか」の意見を求める。市民の声を聞いた上、今年度末までに方向性を決め、来年度以降、整備基本計画を策定するという。
同市は2017年度から、「道の駅」のための調査・研究をスタートし、候補地を市内西部の荻島地区と、東部の増林地区の2か所に絞り、このほど、増林地区とすることを決めた。同地区周辺には、越谷総合公園、農業技術センター、増林地区センターなどの公共施設があり、国道の東埼玉道路を利用すれば、日本一の規模の大型商業施設「イオンレイクタウン」にも近く、エリア内での集客などの連携を図れることが“決め手”となった。
市は5月から地権者をはじめとして住民説明会を重ねてきた。農業関係者への説明会では、「パイプラインの管理や周辺営農環境に支障のないように」との注文が出た。また、周辺5自治会の403世帯への説明会では、「通学路の安全確保を」や「高齢住民の利便性向上のために、バス路線の整備を」など地域に密着した要望があったという。
説明会終了後に土地所有者(39人)を対象に、土地の「売却」の意志を確認したところ、87・2%(34人)が、売却に応じる意向を示したという。市側は売却の意向を確認できていない所有者に対しては、今後個別にアプローチしていく方針だ。
「都市型農業の魅力」を全面に打ち出した特色ある道の駅にするため、市は現在、農業団体へのヒアリングを実施し、同市の農業委員会、農協(JA)、グリーンクラブ、いちごタウンなどと綿密な協議を続けている。こうした協議を通して、農業を生かした機能(施設)や周辺の農業関連施設との連携を模索している。
総事業費は未定だが、市は「他市の事例から最小で27億円、最大で59億円、平均で41億円程度」と見ている。
20日からの市民アンケートでは、「あったらよいと思う機能(施設)」を選んでもらうもの。レストランやカフェ、農産物直売施設、バーベキュー場、公園・広場、宿泊施設、温浴・足湯施設、体験・学習室などを提案して、市民に選んでもらい自由意見も求める。
来年度以降に整備基本計画を策定する予定で、今年度中に方向性を打ち出すという。徳沢勝久・同市総合政策部長は「道の駅は数多くの可能性を秘めている。経済振興に寄与し、市民の心の豊かさを高められる公共空間にしたい」と話している。