越谷市長選は10月31日投開票され、新人で元市議の福田晃氏(46)(無所属)が初当選した。現職の高橋努氏(78)の引退により、福田氏と、いずれも無所属で元市議の服部正一氏(56)(自民推薦)、元市議の松島孝夫氏(45)、不動産賃貸会社経営の田中利昌氏(40)の新人4人の選挙戦となり、現市政の継承と発展を訴えた福田氏が接戦を制した。当日有権者数は28万4267人。投票率は51・27%(前回26・77)で、衆院選と同日選挙とあって前回より大幅に伸ばした。福田氏は「現職の市政を継承・発展させ、市民の命と暮らしを守り、コロナ禍の先の明るい未来をつくりたい」と抱負を語った。
福田氏は、IT関連会社員などを経て、2011年の市議選で初当選し、3期10年市議を務めた。当選の報に同市北越谷の福田氏の事務所は歓喜に沸いた。集まった支援者を前に、福田氏は「住んでみたい、住んで良かった、住み続けたいと思ってもらえるような越谷にしていきたい」とあいさつした。
衆院選との同日選挙の影響で開票終了は、11月1日午前2時48分となった。
選挙戦で福田氏は政党推薦を受けず、政党色を薄めたことで幅広い層の市民からの支持を得た。特に高橋市政の継承と発展を強調し、小学校の少人数学級の早期実現や災害対策、交通不便地域の解消などの政策を掲げた。
選挙戦を振り返って福田氏は「ゼロから始めた選挙だったが、政党色を出さないことで、幅広い市民層に訴えたことが功を奏した。今回、市民の方の意見はさまざまであることが分かり、気を引き締めた」と話す。
福田氏が政治家を目指すきっかけは待機児童の問題という。自身も2児の父親だけに、子育て中の他の親たちが子どもを保育所に入れられず悩んでいるのを知り、「自分が動けば困っている人を助けられるのでは」と2010年に市議に立候補した。今回、現職の高橋氏の引退表明を受けて、市長選に挑む決意をした。
服部氏は09年に続き、2度目の市長選挑戦。市の経済力を高めるため、市街化調整区域の土地利活用を推進し、都市基盤整備に力を入れることなどを訴えた。市議3期の経験を強調したが、自民党推薦で政党色を濃くしたことが裏目に出た。
松島氏は「コロナ禍で止まった越谷を再始動させる」と決意して立候補。政党や団体の意見に偏らない、「しがらみのない政治」や、市民の声を市政に反映させる「市民目線のまちづくり」を掲げて戦ったが、市民に浸透しなかった。
田中氏は「市民の命と暮らしを守る」と訴え、市の財政再建や「税収を増やして福祉財源を確保し、子育てや障害者、若者の支援に充てる」と訴えたが、出馬表明の遅れが最後まで響いた。