エス・シー・エスが支援
草加市出身の体操選手、加藤裕斗さん(27)が3日、リオ五輪団体金メダルメンバーで兄の凌平さん(31)と共に草加市役所で記者会見を開き、2028年のロサンゼルス五輪を目指し、プロに転向することを宣言した。

裕斗さんはコナミスポーツが同日、24年度限りで「社会人部門」の活動休止を決定したことがプロ転向のきっかけになったことを挙げ、「ロス五輪を目指すと共に地元活性化にも貢献したい」と強調した。
一方、現役を引退し、裕斗さんの専属コーチとなった兄の凌平さんは、「指導を始めて1か月程度だが、予想以上に成長している」と手応えを明らかにし、「私にはない要素を持っているので、うまく練習に落とし込んでいきたい」と述べた。
さらに2人は、「これをチャンスと思い、『草加市から世界へ』のキャッチフレーズと共にプロ転向を決意した」と、二人三脚で大舞台を目指す決意を表明した。


裕斗さんは6歳から体操を始め、小学3年生でコナミスポーツクラブ運動塾体操スクールの選抜クラスで本格的に競技を開始。少しずつ頭角を現し、高校3年生のインターハイで個人総合優勝を飾った。
順天堂大学卒業後、コナミスポーツに入社し、競技成績が向上してきたものの、同社が社会人部門の活動休止を決定。わらにもすがる思いで同市のスポーツ振興課に相談したところ、草加商工会議所を通じて地元の廃棄物収集会社「エス・シー・エス」(鈴木努社長、草加市青柳)が支援に名乗りを上げた。これを受け、裕斗さんは2月、凌平さんは3月でコナミスポーツを退社。それぞれエス・シー・エスと契約を交わした。
加藤兄弟は、4月からジュニア選手専用の練習施設となった同市内のコナミスポーツ体育館の使用料を払い、これまで通り練習拠点としてトレーニングを続ける予定だったが、同社から使用期限を5月末までとするとの通告があったことに言及。これについてエス・シー・エスの野崎友義会長は「地元・草加で生まれ育った選手が挑戦を続けられないのは残念」とし、「草加商工会議所と協力し、練習環境においても草加市全体で応援していく」と述べた。

加藤兄弟は同日、山川百合子市長への表敬訪問も行い、コナミスポーツ体育館の継続使用について市も協力してもらえるよう要望書を提出した。