県審査で2部門V
地方自治体などの広報活動の向上を目的に実施されている「令和7年全国広報コンクール」(日本広報協会主催)の県審査で、草加市が「広報紙(市部)」と「映像」の2部門で1位を獲得し、県の代表として全国大会に進出することが決まった。「自治体広報の甲子園」といわれる同コンクールで同市が県代表に選出されたのは初めて。同市広報課では「今後も皆さまに親しまれるよう、伝わりやすい情報発信を心がけ、市の魅力などを発掘・発信していきたい」と話している。

地場の皮革産業を特集
今回、同市が応募したのは昨年11月発行の広報紙。広報課の安高昌輝さん(37)が総務的な役割を担い、西田翼さん(32)が紙面や写真を、金子理沙さん(33)が動画を担当した。
3人は昨年6月、日本で唯一の製革業者による全国団体「日本タンナーズ協会」(中嶋幹夫会長、兵庫県姫路市)によって草加市の皮革産業が「姫路・たつの地区」、「東京(墨田区)」、「和歌山(和歌山市)」と並び、「日本皮革四大産地」の一つに選ばれたことに着目した。皮革産業は煎餅や浴衣染めと共に地場産業の一つだが、認知度は高くなく、まだまだ知らない人も多い。その価値を広く認識してもらい、今後のシティープロモーション(広報活動)に生かそうと、「伝統と革新が紡ぐ、SOKA LEATHER物語」として特集することを決めた。
同市の皮革産業は、素材の調達からなめし、染色、加工までの工程を地元で完結できるのが特徴。また、扱う革の種類も、牛、豚、羊、シカ、ヤギ、爬虫類など多岐にわたる。3人は、皮が食肉の副産物であることや、廃棄して無駄にしないよう皮革製品が作られてきたことは知っていたが、取材を重ね、血や毛が残る皮から製品の革になるまでの工程を目の当たりにすることで、職人の知恵や技術を改めて実感。「これを地域の誇りとして市民に広く伝えることを特に意識するようになった」という。
西田さんは「90年余り、脈々と受け継がれてきた知恵と技術。世代が変わっても時代の求めるものに応えて続けてきた」とし、「日常と結びつく様子を知ってもらいたいと意識して撮影した」と話し、金子さんは「広報では伝えきれない部分を補足する形で撮影した。この産業を決して途絶えさせないという職人の覚悟が草加レザーの神髄」と笑顔を見せた。動画は2分47秒と短めだが、ドローンなどを使い、外観から職人にフォーカスする形で撮影。BGMのリズムと動作が連動するように編集した。
安高さんは「一瞬たりとも皮革を雑に扱う瞬間がない。皮革産業を支える『そうか革職人会』のメンバーが協力し、ハイブランド化を目指していると実感した」と強調する。受賞に関しては「写真の部門は2位だった。全部門で1位を狙ったが残念だった」と少し悔しそうな表情を浮かべた。
受賞作品は市のホームページから閲覧することができる。全国大会の結果は5月初旬頃に発表され、6月に北本市で行われる「第62回全国広報広聴研究大会」で表彰が行われる。