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草加/小6児童が〝模擬議会〟

議題考え質疑・討論・採決 谷塚小学校

小学生が地方行政の仕組みを学ぶ「模擬議会」がこのほど、草加市役所で行われ、同市立谷塚小学校(菅野光三校長)の6年生94人が実際の議場で議会を体験した。同市議会事務局主催の主権者教育の一環で、来年度の本格実施を前に試行的に実施した。選挙管理委員会の説明を聞き、議場を見学した後、討論する議題を児童が考え、市長役、議長役なども児童が務めて、市長説明から討論、投票までを行った。議会事務局は「来年度以降、模擬議会を希望する小学校があれば対応していきたい」と話している。

草加市議会の議場で模擬議会を体験する谷塚小の児童たち (草加市提供)

本物の議場で主権者教育

 模擬議会ではクラスごとに市長や議長役を選出。議題は校内でアンケートを取り、1組が「バスケットのゴールポスト設置」、2組が「室内プール整備」、3組が「谷塚駅西口の活性化とアピール方法」に決まった。

 開会や開議の宣告、会期の決定、市長提出議案の報告・上程など基本的な進行シナリオは議会事務局が用意。児童たちは自分の名札が置かれた席に座り、議長役が宣告を行い、市長役が登壇。市長提出議案の概要を説明した後、質疑、討論、採決を行った。

 1組は、バスケットゴール設置予算100万円を追加するかどうかを討論した。教育総務部長役の児童が費用の内訳を説明。討議では「ゴールの数が少なく、増やした方がいい。設置位置も対面に」という賛成意見の一方、「今ある4基を修理し安全に遊べるようにした方がいい」という反対意見も出て、採決では1票差で否決された。

 2組は、アンケートで屋外プールに屋根を設置するか新たに室内プール建設を求める意見や温水シャワーを要望する声が多かったと説明。討論では「天気による体調不良を減らし、集中して授業に取り組める」という賛成意見の一方、「室内プールは乾燥や換気に時間がかかり使用回数が減る。温水施設にすると熱中症のリスクがある」との反対意見が出たが、議案は大差で原案通り可決された。

 3組は、観光政策を推進するためにはまちのブランド力アップや魅力を高めることが重要とし、ショッピングモールやテーマパーク建設の是非を検討した。討論では「外国人観光客のインバウンド効果で財政が潤う。市民が草加に住むことを誇りにしたい」という賛成意見や、「人口比率は子どもより高齢者が多い。子ども優先より高齢者優先のまちづくりをした方が市民全体のためになる」という反対意見が出た。この議案は賛成多数で可決された。

模擬議会後の記念撮影 (草加市提供)


 2組で議長役を務めた寺田健太郎君(11)は「サポートしてもらって乗り越えられた。やりがいも感じた」と喜び、3組の議員役、甲地瑞辰君(12)は「ちゃんと意見を言えば通るとわかった。今後、みんなの前で意見を言って引っ張れるようになりたい」と話していた。

 菅野校長は「議会も学級会の延長。みんなが意見を持ち、話し合いをすることで進んでいく」とし、「投票権を持った時に関わりたいという気持ちになってもらいたい」と話した。議会事務局では「みんな真剣に取り組んでくれた。自分事を通してよりよいまち、県、国になっていくことを理解してくれたと思う」と手応えを感じていた。
 同市では、新田小学校も模擬議会を体験している。