「中根ふれあい橋」 草加の住民が命名
草加市中根2丁目の谷古田用水に架かる築30年の木橋「無名橋88」が11月29日、ものつくり大学(國分泰雄学長、本部・行田市)の学生たちの手で再生された。
この日は近くの住民らを招いて開通式が開かれ、テープカットや渡り初めなどで橋の再生を祝った。草加市によると、この橋は特に決まった名がなく、便宜上「無名橋88」と呼ばれていたが、再生後の橋を見た住民たちから「名前をつけたい」との要望があり、新たに「中根ふれあい橋」と命名された。
式典で榎本武彦・中根町会長は「新しく名前も付き、開通を期待していた。地域の橋として、今後さらに大事にしていきたい」と喜び、山川百合子市長は「歴史を刻んできた橋だが、老朽化が課題だった。木橋の風情を損なうことなく修繕していただき、素晴らしい仕上がり。今後も中根町会の皆さまと大切に管理していく」と述べた。住民たちからは「改めて橋のありがたみがわかった」「大切に使いたい」などの声が上がっていた。
木橋のリノベーション事業は、老朽化した橋の修繕費などに悩む市と、実体験を通じて学生たちに修繕を学ぶ機会を与えたい大学側の思いが一致し、実現した。今年5月、市が管理する木橋4か所を対象に「基本協定」を締結。年度ごとに1か所ずつ補修する予定で、「中根ふれあい橋」が第1号となった。
修繕には建設学科の大垣賀津雄教授と芝沼健太講師の両ゼミ生約20人が参加。7月に同橋を大学に運び込み、解体して腐食などの劣化状況を確認。極力、元の木材を生かしつつ、繊維強化プラスチック(FRP)や、耐熱性が高く摩耗に強いアラミド繊維などを使い、約4か月かけて修繕した。劣化を遅らせて長く使えるよう、随所に工夫が施されている。