草加市はこのほど、同市松江の「漸草庵 百代の過客」で、「第11回奥の細道文学賞、第5回ドナルド・キーン賞」の受賞作品を発表した。
両賞とも、俳人の長谷川櫂さんと国文学者の堀切実・早稲田大学名誉教授が最終選考委員を務めた。選考の結果、「奥の細道文学賞」の大賞は、正体不明の陶器の謎を追い、真相究明のため単身、韓国の旅に出るという大野保夫さんの作品「点描韓国~正体不明の焼きものを追って~」が受賞。一方、「ドナルド・キーン賞」は残念ながら大賞なしとなった。
発表は長谷川さんと山川百合子市長が行った。「点描韓国」について長谷川さんは「力強く、引き込まれる作品」と評価した。
一方、ドナルド・キーン賞を大賞なしとした理由について長谷川さんは「選考委員の意見が一致しないため」と述べた。ドナルド・キーン賞の優秀賞は、大谷弘至さんの「楽しい孤独 小林一茶はなぜ辞世の句を詠まなかったか」が受賞した。長谷川さんは「近代人としての一茶の表現力、世界観を鳥瞰図ず的に捉えている」と評した。
「奥の細道文学賞」は、松尾芭蕉が「おくのほそ道」の道中、同市を訪れた縁から、1992年に「奥の細道・芭蕉企画事業」の一環として地域文学の振興を目的に創設。また、「ドナルド・キーン賞」はキーン氏が同市で講演したことをきっかけに、本人の許可を得て、2012年に賞を制定した。今回は、北は北海道から南は鹿児島まで、高校生から91歳までの幅広い層から153作品の応募があった。