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吉川・松伏/災害時対応にドローン隊

吉川松伏消防組合 迅速な救助へ

吉川松伏消防組合の消防本部で行われたドローン訓練
吉川松伏消防組合の消防本部で行われたドローン訓練

 吉川松伏消防組合は、災害対応の一層の強化のため、2日から災害用ドローンの運用を開始した。これに先立ち8月28日、消防本部でドローン隊発足式とドローンを活用した訓練を行った。吉川市の中原恵人市長、松伏町の鈴木勝町長らが参加した。
 ドローンは消防活動で多くの実績を上げている。同消防組合でも、昨夏の台風で大きな被害を受けたことをきっかけに、ドローン隊を発足し活用することになった。外部講師を招き、昨年度から敷地内などで本格的に訓練を開始し、ドローン隊1期生6人を誕生させた。
 同消防組合が所有するのは、「DJIマトリス30T」。航空法で150㍍以上の空域は飛行禁止とされているため、その範囲内で飛ばすことができる。重さ約4㌔㌘。カメラは200倍ズームで、約5㌔先の建物の状況を確認できる。通常カメラの他にサーモカメラを搭載し、火災の温度を知らせてくれる。バッテリーは20~25分持続可能で、バッテリーを交換すれば1時間以上、飛行が可能だ。
 今回の訓練は、ビルの4階で火災が発生し、逃げ遅れた人を救助するという設定で行われた。火災発生の連絡を受けて、ドローン隊が出動。ドローンを飛ばしてカメラでビルの中の要救助者を確認し、はしご車で救助する。ドローンの撮影はブレもなく鮮明に指揮本部に送られ、それを基に的確な指示によって取り残された人が救助された。通常カメラで要救助者を、サーモカメラで火災の進行状況を把握でき、2画面で確認することも効果的だった。
 吉川市や松伏町は川に囲まれているため、水害も多い。同消防本部警防課兼ドローン隊の深井宏一さん(45)は「昨年の台風では管内の人的被害は少なかったが、床下浸水などによる財産被害が多かった。消防車両が現場の近くに行けない時、ドローンによる捜索は消防隊の安全も守れる。効果的に運用していきたい」と話していた。
 災害用ドローンは、神奈川県大和市消防本部が2016年に初めて導入し、災害現場での情報収集に活用した。総務省消防局によれば、今年は消防署の53%がドローンを活用して、災害現場での実態調査や捜索活動に役立てている。