草加市のまちづくり団体「NPO法人今様草加宿」(長谷部健一理事長)が10月3日、同市神明1の旧日光街道沿いに、文化・観光発信拠点施設「草加宿 今様本陣」をオープンする。かつて料亭などで使われたが、その後空き店舗となっていた2階建ての建物を借り受け、外観や店内、壁などを改装して、新たな観光拠点としてよみがえらせた。「おせん公園」や「神明宮」に隣接し、国指定名勝「草加松原」にもつながる、旧宿場町・草加の新たなにぎわいの場として期待されている。
対象の建物は当初、同市主催の「リノベーションスクール」で、ビール工房として“再生”される予定だったが、立ち消えとなり、空き店舗状態が続いていた。そこで、「今様草加宿」が手を上げ、昨年夏頃から、株式会社を設立して出資者を募り、改装費や準備資金を捻出したという。収益を図るために、時間貸しの駐車場も併設、整備している。
完成した「草加宿 今様本陣」は、“モダンな大正時代の商店”がモチーフ。黒を基調にした外観で、黒板塀などあしらって、看板は黒地に金色の文字で装飾した。
1階は「川の駅そうか村市場」(約27平方㍍)として、地元の農産物、「そうか七福鍋」などの市内名産品をはじめ、奥の細道関連の日光市の物産も常時販売する。同市物産・観光情報センターで開催されていた、東日本大震災復興支援の「東北物産販売会」を引き継いで、岩手県南三陸町、宮城県石巻市などの物産販売も行う。創作和食の店「鍵や」も10月下旬にオープンする予定だ。
また、市内の知的障害者施設(12団体)の就労支援に協力、生産品のコーナーを設けて、実演販売もできるようにする。
2階は「間貸し屋借兵衛」と名付けたレンタルスペース。宴会場だった72畳の間を2つに分け、ステージ付きの「芭蕉の間」(45畳、72人収容)、曾良(そら)の間」(27畳、48人収容)として格安で一般に貸し出す。2つの間を通しで借りることもでき、すでにいくつかの団体予約が入っているという。
これまで、「川の駅そうか村」として綾瀬川左岸の船着き場周辺で定期開催したイベントは、同施設とおせん公園を活用して開催していく。また、演芸や音楽コンサートなども企画し、キッチンカー出店でにぎわいを創出したいとしている。施設脇を流れる伝右川沿いに獨協大学ともつながっているため、学生たちの利用も見込んでいる。
長谷部理事長(70)は「旧日光街道と草加松原との結節点に位置し、2つをつなぐ拠点になる。観光客だけでなく地元の人の休憩や物品購入の利用、団体の活動場所として利用してもらい、草加のまちを盛り上げていきたい」と期待している。
<問い合わせ>NPO法人今様草加宿048・969・4731。