手話普及のきっかけに
「みんなと手話でつながろう」をテーマに、「三郷市手話フェスタ」が、手話言語の国際デーに当たる9月23日、同市の三郷中央におどりプラザで開かれ、聴覚障害者だけでなく多くの市民でにぎわった。
1階エントランスでは、同市聴覚障害者協会の平野清代美(きよみ)会長(56)や石井直美さん(30)らメンバーが「手話による絵本の読み聞かせ」を行った。みやにしたつや作・絵の「これなあに?」を集まった子どもたちに見せ、手話で「これ、なあに?」と質問。「おにぎり」「おむすび」と2つの名前があるねと伝え、ほおばると「おいしい!」と表情豊かに表現した。
手話ダンスワークショップでは、東京・新宿でダンススタジオを運営し、手話とダンスを組み合わせたパフォーマンスを生み出したNPO法人「舞(まい)はんど舞らいふ」のメンバーが昨年に続いて招かれた。副理事長でインストラクターの早藤真紀さんはろう者の両親を持ついわゆる「コーダ」。パフォーマーのTakayaさんはろう者。HIROMIさんは健聴だが、仲間とダンスを踊るうちに手話を覚えたという。
3人は、ロックバンド「Half time Old」のCM提供曲「みんな自由だ」に合わせてキレキレのダンスを披露し、参加者は最初から大興奮。「チャレンジしても おじけづくのも 成功しても失敗したとしても そんなのすぐに忘れよう」という歌詞の手話をまず教えた。さらにダンスのステップを、「2つ前へ行ったら2つ戻って」などと丁寧に指導した。子どもたちは2グループに分かれて初めての手話ダンスに挑戦。最後に保護者も交じって全員で踊った。みんな口々に「楽しかった!」「またやりたい!」と話していた。
Takayaさんは「家に帰ったら、覚えた手話をご両親にも教えてね」と手話で語りかけた。早藤さんは「ダンスや歌だと手話を覚えてくれる。それが一つでも増えるといい」と話していた。
同市障がい福祉課の島村文香課長によると、昨年までは「聴覚障がい理解促進セミナー」として開催されていたが、来年11月に日本で4年に1度の聴覚障害者のスポーツ大会「デフリンピック」が開かれることもあり、障害の有無にかかわらず誰でも楽しめるイベントにと装いを新たにした。平野会長は「子どもたちが手話を覚えてくれ、大人になった時が楽しみ。こういうイベントはありがたい」と手話普及のきっかけになることを期待していた。