いざという時、家族が相続でもめない方法やわが家が空き家とならないようにする方法などを学ぶ「遺言・相続セミナー&相談会」が9月23日、吉川市中央公民館で開かれた。セミナーには67人が参加、相談会に定員いっぱいの24組が予約するなど、関心の高さをうかがわせた。
埼玉司法書士会、さいたま地方法務局、吉川市、日本赤十字社埼玉県支部が主催。相続をスムーズに進めるポイントや遺言書の残し方、来年4月1日から始まる相続登記の義務化や社会問題となっている空き家対策などについて説明した。昨年、深谷市で開催され好評だったことから、吉川市でも開催した。
同司法書士会「所有者不明土地・空き家等対策委員会」の鈴木友治副委員長(49)は「空き家になってからでは遅い」と強調。参加者にエンディングノートを配布し、自分がしっかりしているうちに書いておくことが重要と述べた。家族が相続でもめ、結局、空き家になってしまうケースや、亡くなってから時間がたち、相続が困難になってから相談に来るケースが多いためだ。残された家族がスムーズに相続できるよう、土地や資産などをあらかじめ記入しておくことをアドバイスした。
また、同法務局供託課の志茂好信遺言書保管官によると、遺言書は同法務局管内8か所で保管できる。1件につき3900円の料金がかかるものの、途中書き換えもできるという。
同市内の空き家は約110件だが、全国では2018年の調べで賃貸用・売却用を除き約349万戸あり、うち約240万戸が木造一戸建てだ。所有者不明は約5万戸に上る。さらに住宅総数が世帯総数を上回り増え続けている。空き家になると動物が住み着いたり、草木の管理がされず近隣住民から苦情が出たりするため、早急な対応が求められている。
講師陣は、相続人が認知症や未成年者だったり、家族が音信不通になっていたりして相続できないケースも多いと指摘。「5歳若かかったら遺言を書けた」と言う相談者がいると述べ、今行動するよう勧めていた。
個別相談に訪れた50代の夫婦は「両親が高齢になったので、相続について聞きにきた」と言う。また、5歳の女性は「父親が亡くなり、遺産でマンションを購入した。母親と妹の名義になっていたが、9年前に母親が他界し、その後、妹が結婚して住んでいる。私の相続分はどうなるか聞きたい」と話していた。
吉川市/遺言や相続 事前準備を 空き家対策など相談会