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子どもの〝野球ひじ〟未来を守る対策 吉川市少年野球連盟

早期発見、予防に力 超音波で定期的に検診へ

超音波エコー検診を受ける少年野球の選手たち
超音波エコー検診を受ける少年野球の選手たち

 野球選手がプレーによってひじを壊す「野球ひじ」を防ごうと、吉川市少年野球連盟(北浦靖司会長)が8月27日、野球少年・少女たちを対象に、医師による超音波エコー検診を初めて実施した。小学生の場合、骨や軟骨に異常があっても痛みを感じないまま放置して悪化させることがあるため、早期発見・早期治療に結び付けようという狙い。検診の結果、2人に異常の疑いが発見された。同連盟では成果があったとして、年2回の検診開催を検討している。
 同市市民交流センター「おあしす」で行われた検診には、同連盟に所属する少年野球チーム、「吉川グリーンズ」、「吉川ストーム」、「吉川ウイングス」の3チームの4~6年生計39人と、監督、コーチら指導者、保護者らが参加した。
 埼玉県内でスポーツをする子どもたちに障害予防の検診を行っているNPO法人「埼玉スポーツメディカルサポート」の山田唯一(ゆういち)副理事(慶応大学医学部スポーツ医学総合センター)、藤井達也副理事長(レイクタウン整形外科病院)ら整形外科医3人と理学療法士10人が検診に当たった。
 最初に北浦会長(55)が「大谷(翔平)選手でさえ、万全のケアをしていてもけがをする。みんなが中学、高校と大好きな野球をできるよう予防してもらいたい」とあいさつした。

 体の硬さが原因に

 子どもたちは、1人ずつ、理学療法士によって股関節を中心に、肩やひざのチェックを受けた。両ひじをつけて腕を上げたり脚を曲げたりして、体の硬さをチェック。比較的に多くの子どもたちが「体が硬い」と指摘され、中には「60代並み」と言われる子もいた。体が硬いと、重心移動でなく手投げになりやすく、野球ひじを起こす原因にもなるという。
 続いて、医師によって利き腕の超音波検診を受けた。山田医師によると、小学生に起きやすい野球ひじには、ひじの内側が痛む「内側上顆骨端症(ないそくじょうかこったんしょう)」などと、外側に起こる「離断性骨軟骨炎」などがある。内側は治りやすいが、外側は悪化するまで気づかないことが多く、検診で発見することが重要という。
 吉川ウイングスの森本灯あかり選手(12)(新和小学校6年)は「問題なし。頑張ってね」と言われ、「よかった」とほっとしていた。一方、骨の損傷と見られるケースが1人、同疑いが1人見つかり、いずれも病院での受診を勧められた。
 最後に子どもたちは理学療法士から、体をほぐすストレッチを何通りも教わり、「うわー、きつい」と言いながら真剣に取り組んでいた。
 指導者や保護者は山田医師から「初期には痛みありとなしが半数ずつで、エコーでないと発見できないことが多い。統計では11歳が発症のピークだが、個人差が大きく、4年生から6年生まで検診すると安心」と説明を受け、エコーの重要性を改めて認識していた。
 北浦会長は「少年野球はスタートで、この先も野球を続けるためには予防が大切。検診がもっと広がっていくといい」と話していた。