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女らしさ、男らしさって? 漫画で楽しく学ぶ多様性 

 越谷・手丸さんが出版 「大人にこそ読んでほしい」

ジェンダーなどについて楽しく学べる学習マンガを出版した手丸かのこさん
ジェンダーなどについて楽しく学べる学習マンガを出版した手丸かのこさん

 越谷市在住の漫画家、手丸かのこさんが、子どもたちにジェンダーやセクシュアリティーについて楽しく学んでもらおうと、学習マンガを出版した。女らしい・男らしいファッションや色とは?、女ことば・男ことばって誰が決めた?、ぬいぐるみ好きの男って変?、涙もろい男はダメ?―など12話からなり、どれも面白く、なるほどと思わせてくれる内容。手丸さんは「子どもたちに読んでもらい、みんながお互いを認め合うようになるといい」と話している。


 この本は「知ってる? ジェンダー・セクシュアリティ マンガ カラフルKids(キッズ)」(子どもの未来社刊。税込み1650円)。学校図書館などに置くことを想定した同社の学習マンガシリーズ「スクールコミック」の一つとして刊行された。
 美桜さんは小学6年生。どこの中学を受験するか迷っている。クラスメートのトーマ君はランドセルがピンクで、いつもみんなにからかわれている。美桜さんが尋ねてみると、「カワイイからだよ」という答え。「ピンクが一番ステキな色だから、6年間使うからこそ、自分がワクワクする色にしたかったんだ」という。美桜さんはそもそも男の子色って何色? 女の子はピンクや赤を好きにならないといけないの? 「変なの」って言うのはそれこそ変じゃないか、と考え込む。
 幼い頃からフリフリドレスを着せられてきたけれど、本当は半ズボン姿にあこがれていた。自分の意見をはっきり言えるトーマ君に触発され、思い切って両親に、女子でもパンツスタイルが選べる自由な校風の中学を受験したいと伝える……(第1話)。
 性別でファッションや色を決めつけられることに、「自分の好きなものを大切にした方が楽しく生きられるよ」というメッセージが伝わってくる。どの話も説教くさくなく、楽しく読めるのが特徴だ。
 構想から約1年。手丸さんと編集者の松井玉緒さんが二人三脚で1話ずつ丁寧に作り上げた。友だちにいつも泣かされている男の子、日本語がよく話せないため黙ってしまう外国人の子など、2人が実際に体験したことを基に、話を膨らませたり変えたりしたものも多い。
 解説・監修は、セクシュアリティー教育が専門の渡辺大輔・埼玉大学基盤教育研究センター准教授が担当した。

個性を尊重できる社会に

 「タイトルから『LGBTQ+』を連想するかもしれないが、それだけじゃない。一人一人のカラフルな個性はもちろん、人種、民族、障害の有無などに関わらず、みんなお互いを尊重しようよ、と伝えたかった」と手丸さん。松井さんも「子どもはスポンジのようだから多様性についても吸収してくれると思う」と言う。
 ターゲット年齢は小学校高学年から中学生。「子どもにわかりやすく描きましたが、本当は大人にこそ読んでほしいマンガです」と手丸さんは話している。

本紙イラストでもおなじみ

 手丸かのこ 越谷市出身。第29回小学館新人コミック大賞で佳作となり、漫画家デビュー。代表作に「ポップコーン天使(エンジェル)」「おれたちロケット少年(ボーイズ)」「レインボーKids」など。本紙連載「明日への終活」のイラストも手がける。また、「てしばまさみ」のペンネームで、越谷いちごPRキャラクター「ストロングベリーちゃん」や、徳川家康をテーマにした今年の「こしがや田んぼアート」の下絵制作などでも知られる。2児の母のワーキングママ。