吉川市

30年の書道人生から転身 ペーパーフラワー作家に 吉川・下玉利さん

下玉利久美子さん
下玉利久美子さん


 吉川市で約30年間にわたり書道教室を開いてきた女性が、腰を痛めて書道ができなくなり、ペーパーフラワー作家に“転身“した。7月からは生徒も習いに来る予定で、展示会開催も構想中。「やりたいことをやって自分の人生を試したい」と張り切っている。
 この女性は、吉川市新栄の下玉利’(しもたまり)久美子さん(78)。ペーパーフラワーは紙で作る花で、インテリアにも祝い事にも使え、最近人気が高まっている。
 下玉利さんの作品の特徴は、自ら染めた紙を使うこと。「色つきの紙も売っているけど、色合いが単純だから」と、多い時で5~6種類の染料を配合し、複雑な色に染めたりグラデーションにしたりしていく。制作時間は1日4~5時間。元書道教室だった部屋では、完成したトルコキキョウ、バラ、マーガレット、ボタンなどが美しく咲き誇っている。
 下玉利さんは出身地の鹿児島市で書道の師範となり、子どもなど約150人を指導。40代後半の時、草加市に移り、吉川市内で書道教室を開いた。
 ところが、昨年11月、ご主人が寝室で転び、横で寝ていた下玉利さんは背骨2か所を骨折した。背中は治ったが腰が痛いままで、筆でうまく字を書けなくなった。「満足ゆく手本が書けない以上、仕方ない」と、今年3月で書道をすっぱりやめた。
 「これから何に挑戦すればいいのか」と自問した時、鹿児島時代に覚え、北千住の手芸店に勤務していた時に再会したペーパーフラワーに思い当たった。
 「花を作っていると、不思議と体が痛まない」と笑う。「残りの人生は花に賭けた。人に見せるなんて“花天狗(てんぐ)“かもしれないが、1年以内には展示会を開きたい」と話している。