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石仏を市民がパトロール 越谷市郷土研究会

中島地区の石仏を調査する越谷市郷土研究会会員ら
中島地区の石仏を調査する越谷市郷土研究会会員ら

増林地区90基を調査


 越谷市のNPO法人「越谷市郷土研究会」は毎年4~5月、市内の石仏や石塔の保存状態を確認する「文化財パトロール」を実施している。「地域史を知るうえで貴重な文化財」の実態把握に努めようと、2005年からほぼ毎年続けている地道な活動だ。今年は4月13日から25日にかけて、会員26人が5班に分かれて参加。徒歩で巡回し、前回の調査に比べて破損などの変化がないかどうかを目視し、記録を取った。
 今年の調査対象エリアは同市増林地区。南部の旧増森村、旧中島村など4つの旧村に残されている石仏など計90基を調査した。同研究会によると、市内には歴史的価値のある石仏や石塔が約1200基残るとされるが、土地開発や管理者の代替わりなどで失われるケースもあるという。
 4月25日、班長の大野悦治さん(77)と班員の5人が旧中島村の「青面(しょうめん)金剛像庚申(こうしん)塔」「地蔵像付き三界萬霊(ばんれい)塔」「三猿(さんえん)庚申塔」など、6か所10基の石仏を調査した。会員がまとめた図録を基に所在や破損の有無などを確認。カビがついている部分は布で拭い、読みにくくなっている文字などを細かく記録した。まとめられた報告書は、場合によっては市に管理を願い出ることもあるという。
 石仏は個人や寺で管理しているものもあるが、ほとんどが住宅街や路傍にひっそりとたたずみ、風雨にさらされている。大野さんは「当時の環境を引き継いでいく石仏の大切さをわかってほしい。歴史をつないでいくことが大事」と話していた。