越谷・林泉寺

越谷市増林の林泉寺(木村惠隆住職)で20日、県指定有形文化財「木造伝正観音菩薩坐像(ぼさつざぞう)」や安産を助けてくれるとされる子安観音ほか6観音の年に1度のご開帳が行われた。ご開帳に当たり、写経や写仏も実施された。
ご開帳は毎年4月、観音様の日である18日に近い日曜日に行われる。ご開帳前に一升餅を供え、ご開帳後には餅の上の部分だけを持ち帰って皆で食べ、無病息災を願う習わしがある。
檀家の梶美江子さん(69)は、長女の齋藤紗織さん(43)、妊娠中の次女、林真澄さん(41)と参拝に訪れた。「近くに住んでいるのに子安観音があることを知らなかった。年に1度のご開帳なので、お顔を拝見し、安産をお願いに来た」と話した。
同寺は創建700年以上と伝わる浄土宗の古こ刹さつ。鎌倉時代後期、嘉元2年(1304年)の作とされる正観音菩薩坐像は昨年、82年ぶり3度目の修復後初のご開帳が行われ、多くの参拝者が訪れた。徳川家康ゆかりの寺としても知られ、家康が馬をつないだ「駒(こま)止どめの槙まき」や口をすすぎ手を洗った「権現井戸」も有名だ。
林泉寺は「武蔵国三十三観音霊場」の第三十一番札所に当たる。木村住職は「来年は観音様の眷属(けんぞく)(主尊に従うもの)である 午(うま)にちなみ、12年に1度の午年のご開帳となるお寺が多く、三十三観音めぐりが行われる。今年はそれに向けた準備の年となる。皆さんの一時の苦しみを癒やしてくださる観音様を参拝して、新しい一歩にしていただきたい」と話していた。