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越谷/保育政策で模擬選挙 越谷市選管とコラボ

初の学生主導 課題学ぶ 埼玉東萌短大

模擬選挙で保育士の賃金アップ
などを訴える「保育士やる気党」の山崎さん(右から2人目)
模擬選挙で保育士の賃金アップなどを訴える「保育士やる気党」の山崎さん(右から2人目)

 越谷市新越谷2の埼玉東萌短期大学(髙橋美枝学長)でこのほど、同市選挙管理委員会とのコラボによる模擬選挙が2日間にわたって行われ、幼児保育学科1年生2クラス67人が選挙を体験した。「保育者教師論」の授業の一環で、学生は同市の現状や保育政策、課題などを学ぶ一方、選管としては若年層の投票率を上げるのが狙い。
 選管がこれまで行ってきた出前授業は、主として選挙の流れを教えるものだったが、今回は初めて学生主導で実施。選挙の仕組みだけでなく、「市の保育の現状を知って課題を学ぶ」ことを目的に、学生が問題解決策を考え、それを公約に掲げて候補者になり、選挙に出馬した。
 立候補したのは、「保育士やる気党」、「甘党」、「子ども愛し党」、「感謝(ありが)党」、「鵺界(やさか)党」の5人。初日は、同市の子育 て支援課の職員が市の現状や課題について特別授業を行った。その上で学生は、問題解決のための提案を考え、公約をまとめた。選挙は2日目に、選管から選挙についてミニ講義を受けた後に行われた。
 当選したのは投票数50票のうち半数の25票を獲得した「保育士やる気党」の山崎けいこ(本名・楠生富美)さん(49)。応援者3人を含めて全員が40代の母親で、保育真っ最中だからこそ肌で感じる「保育士の賃金アップ」、「放課後児童クラブ待機児童ゼロ」、「給食無償化へ」の三つの公約を掲げた。保育士のモチベーションを上げるための賃金アップ、待機児童ゼロにするためシルバー人材の活用などを解決策に挙げた。他の立候補者も学童保育待機児童の解消や子どもの居場所づくり、児童館の活性化などを公約に挙げたが、母親が実際に感じている問題は説得力があり、学生有権者の心に刺さった。
 選挙運動の最後に「山崎けいこに清き一票を!」と大きな声で叫び、選挙の雰囲気を醸し出したことも好印象を与えた。
 当選した山崎さんは「学んだことは伝えることができた。何かが無償になるということは私たちの税金が使われるんだと知り、すごく勉強になった」と当選を喜んだ。
 初めての試みに選管の二階堂義広主幹は「初めてのことなので、どうなるかと思ったが、内容はとてもよかった」とうれしそうに話していた。司会を務めた髙橋学長は「学生にとって大事なのは保育の学習だが、社会に関心を持ち、仕事をとらえていくのは大事。子育て推進課にも話を聞けたことは良かった。今後もぜひ1年に1度やりたい」と目を細めていた。