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草加/松を害虫から守れ

168本に予防薬剤

 草加市の国指定名勝「おくのほそ道の風景地 草加松原」で2月17、18の両日、松並木を「松枯れ」から守る予防薬剤の樹幹注入作業が市委託の造園業者によって実施された。

松の木に薬剤を注入する造園業者


 体長2~3㌢のマツノマダラカミキリ成虫を媒介に伝播するマツノザイセンチュウの侵入・増殖を防止するためのもので、今年度は松並木南側の168本を対象に実施した。

 松の木の地上50㌢ほどの位置に電気ドリルで穴を開け、素早く薬剤を注入。その後、殺菌剤を充填、被膜材で覆って雨水の侵入を防ぐ対策を行った。注入した薬剤の持続期間は約7年で、薬剤が木全体に行き渡る時間は若い木や樹勢の旺盛なもので1か月程かかるという。
 同市では21年から毎年、全体の4分の1ずつ実施。今回で1サイクル最後の薬剤注入となった。

ドリルで松の木に穴を穿つ造園業者


 造園業者「光樹園」(田中光彦社長、草加市小山)の樹木医・松保護士の田中紘さん(46)は「身近ではないが、全国的に見て日本の松は壊滅的」と強調。「国指定名勝である草加の松並木は今後も守っていかなければならない」と話していた。

 マツノザイセンチュウによって引き起こされる松枯れは「マツ材線虫病」と呼ばれる。マツノマダラカミキリの成虫が食べた小枝の樹皮部分などからその体内にいる1万~1万5000匹のマツノザイセンチュウが侵入し、爆発的に増殖。食害に加え、仮道管を埋めて通水を阻害することで松枯れを引き起こす。枯れた松にはまたマツノマダラカミキリが産卵し、羽化後の成虫にマツノザイセンチュウが取り付くことで被害が増えるという。