洋画「花模様」 古利根川の桜描く

「第23回越谷市美術展覧会(市展)」が7日から13日まで、越谷市中央市民会館で開催された。同美術展覧会実行委員会、越谷市、同市教育委員会、公益財団法人越谷市施設管理公社共催、東武よみうり新聞社などが協賛し、約3200人が来場した。
4日に行われた審査の結果は、伊丹信子さん(92)の「待ちくたびれて」(洋画)など5点が市長賞に選ばれ、入賞作品46点が決定した。東武よみうり新聞社賞には、同市千間台の山本マサエさん(75)の「花模様」(洋画)が選ばれた。
市展は同市の芸術文化活動推進を目的として、日本画、洋画、彫刻、工芸、書、写真の6部門で実施されている。今回は、211人から233点の応募があり、このうち175点が入選。無審査出品の55点とともに約230点が展示された。
「花模様」は、東武アーバンパークライン「藤の牛島」駅(春日部市牛島)近くを流れる古利根川の桜を描いたもの。山本さんは絵を始めた10年前から「桜を描きたかった」と話し、色がはかなげで、散る姿も大好きなソメイヨシノを描いた。
絵を描くことは小さい頃から好きではなかった。しかし、友人に誘われて出かけた展覧会がきっかけで絵画を始めた。当初は「子どもたちにやると公言して、途中でやめたら示しがつかない」という理由で続けてきた。だが、続けていくうちに「自分に合っていたのかもしれない」と笑う。
苦労したのは、桜の織り成すコントラストだ。枝や花びらの折れ重なりによる影の出し方や色使いが難しかったという。散歩する人たちを加えたのは、遠近感を出すためだ。
今後は人物を登場させない「一本桜」を描くことが目標という。「周りの風景に助けられない桜1本だけ。遠近感を出すのは難しいけど、描いてみたい」と意欲を示す。これから桜のシーズンが来る。「毎年、桜の頃は北越谷辺りをうろうろしています」と話し、「この絵を見て、桜の咲いている姿を感じてもらえれば」と受賞を喜んだ。
各部の入賞者は次の通り。(敬称略)
【日本画】越谷市長賞=鈴木とめ子「晴れやかに」▽越谷市議会議長賞=伊藤友見子「侘助(わびすけ)にメジロ」▽奨励賞=藤橋佳子「蝶々」
【洋画】越谷市長賞=伊丹典子「待ちくたびれて」▽越谷市議会議長賞=福田のりみ「湖畔」▽越谷市教育委員会教育長賞=稲葉美心「生きた化石」▽越谷市文化連盟賞=田中暢子「川のある町」▽東武よみうり新聞社賞=山本マサエ「花模様」▽テレ玉賞=塩路民恵「熱帯の楽園」▽奨励賞=飯室眞「海無し県の帆風」、大塚君子「ノスタルジー」、金鹿優愛「想(おも)い出」、小泉美絵「生きる」、清水皓毅「泰山秋高」、髙野昭子「古道」、南海文香「Gradation」、布施利憲「虎視眈々(こしたんたん)と…」、間篠兼治「山彩Yamairo」、宮山孝「薔薇(ばら)のささやき」、山田叔利「秋の修善寺川」▽高校生特別賞=青木果歩「二面性のインベーダー」
【彫刻】越谷市教育委員会教育長賞=内田文江「ファミリー」▽奨励賞=鈴木康心「外柔内剛」▽竹内花歩「融解」
【工芸】越谷市長賞=小島由美「月来香」▽越谷市議会議長賞=内田文江「太陽」▽越谷市教育委員会教育長賞=加藤伸夫「柿図」▽奨励賞=伊藤雄二「はし箱」(鎌倉彫)、森澤志津雄「薪窯(まきがま)焼成」
【書】越谷市長賞=吉田みずほ「新古今和歌集」▽越谷市議会議長賞=堤拓斗「谷風」▽越谷市教育委員会教育長賞=細岡芳明「若山牧水の歌」▽奨励賞=荒川畦菫「五言絶句」、堤清華「李の花」、長澤順子「百人一首」▽高校生特別賞=佐々木純菜「名言」
【写真】越谷市長賞=髙橋朗「おうちに帰ろう」▽越谷市議会議長賞=小関明彦「人恋しい日」▽越谷市教育委員会教育長賞=宇都宮勇一郎「許さない! 闇バイト」▽J:COM越谷・春日部賞=青木秀茂「ファンタジー」▽奨励賞=石田任亨「秋から冬に」、井上文子「未来に向かって」、黒田明雄「親子の情愛」、中村和美「川辺の灯(あか)り」、藤井裕一「雨上がりの朝に」、横川稔「ペルーのマリネラ」