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松伏/生への思い 音色に込めて

エローラで無料コンサート

コンサートに向けて練習に励む木村博さん、加藤貴美子さん、及川佳美さん、木村睦子さん、勝間洋子さん(左から)
コンサートに向けて練習に励む木村博さん、加藤貴美子さん、及川佳美さん、木村睦子さん、勝間洋子さん(左から)

 松伏町を拠点に活動しているアマチュア室内合奏団「アンサンブルとも」が24日、結成30周年記念「生きててよかった」コンサートを同町の田園ホール・エローラで、入場無料で行う。出演するのは、同アンサンブルのオリジナルメンバーであるバイオリンの木村博さん(76)、ピアノの勝間洋子さん(68)と木村睦子さん(77)に、今回誘われたバイオリンの加藤貴美子さん(71)、フルートの及川佳美さん(71)の計5人。合計363歳が、「生きててよかった」という思いを込めて命の音色を奏でる。
 メンバーの1人はがんを患い、昨夏まで体を動かすことも困難だった。他のメンバーには、狭心症で死の淵をさまよった人もいる。それでも、秋にコンサートの話が持ち上がり、楽譜を手配して練習を始めたのは、「目標があったら頑張れる」からだ。練習中に体調が悪くなり、音合わせを飛ばしたりもした。それでも「病気しても何があってもやってみよう」と、5人の心は弾んでいる。
 リーダーの木村博さんは「要求度は高いけど、プロ並みの演奏を目指す」と強調。さらに、「こういう形でできるのは最後かと思って仲間を誘った。精いっぱいやって、涙を流させます」とやる気満々だ。
 練習は休憩を取りながら5時間以上にも及ぶ。それでも「まだまだこれからよ」と木村睦子さんは明るく話す。睦子さんは、「田園ホール」の名称が公募された際、応募作が採用された"名付け親”。それだけに、同ホールでの演奏はひとしおだ。「一生に一度やってみたかった。やることになって、あまりにも大それたことで、つぶれそうになった。でも、ここは素人の強み」と開き直った。加藤さんは「オーケストラとかはやったことあるけど、1人で弾ける機会がなかった。すごくありがたい」と喜んだ。勝間さんは「ディズニーの曲を入れたりした。みんな来てくれるなら知っている曲がいい」と選曲にも力を入れた。及川さんは、フルートでモーツァルトを選曲。その音色は「天国のように透き通っている」と睦子さんも絶賛。本人も「ハープのところをピアノで盛り上げてくれてとてもいい感じに仕上がっている」とうれしそうだ。これまで、各自がオーケストラやカルテットなどを行ってきたが、二つのバイオリン、ピアノの連弾、フルートでの演奏は初めてだ。
 コンサートは、シルバー人材センターや同町教育委員会の後援に加えて、地域全体が応援してくれている。「音を通してみんなを元気にしたい。心を込めて演奏します」と5人は一丸となっている。