風呂、洗濯 120万人に影響

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「まさか身近でこんなことが起きるなんて」―1月28日に八潮市の県道松戸草加線で起きた陥没事故は、救出作業や応急復旧が予想外に長期化し、周辺住民はもちろん、県内の広い範囲の住民に大きな影響を及ぼした。
県は2日、さらなる道路陥没拡大の恐れがあるとして、現場から半径31・5メートルの範囲を「避難区域」に設定し、域内の5棟の住民に個別に避難を要請した。これに伴い、八潮市は「警戒区域」の範囲を半径200メートルから50メートルに縮小。一時避難所を八潮中学校体育館からエイトアリーナ(鶴ケ曽根体育館)に変更した。避難住民は終わりの見えない避難生活に疲れ切った表情を見せていた。


市民生活への影響も大きい。八潮市は1月30日、水道の使用量を減らすための予防的措置として、水道管の一部を停止すると発表した。水が使えなくなることはないが、市内全域の水道水に濁り水や水圧低下の発生が予想されるとした。
都市ガスについては、東京ガスによって安全対策が行われ、ガス使用の安全性が確保されたという。
現場近くの店舗は休業を余儀なくされているところもある。また、事故で電話やインターネットが使えなくなったところも多く、「仕事にならない」とこぼす人もいた。
同市の大山忍市長は、「避難や道路の通行止めなど市民生活のさまざまな面で多大なご迷惑をおかけし、深くおわびする」と述べ、県や国と協力し「一刻も早い復旧や再発防止、市民の皆さまの生活の安全回復に努めていく」と話した。
一方、県が下水への排水自粛を要請した地域は、同市のほか、下水の上流に当たる越谷市、草加市、春日部市(旧庄和町を除く)、川口市東部など計12市町約120万人に及んだ。これに伴い、越谷市では老人福祉センター「くすのき荘」の浴室と、同「ゆりのき荘」の浴室・温浴プールの利用を休止。各公共施設で節水の呼びかけを掲示するほか、当面の間、毎日午前と午後の2回、防災行政無線によって可能な範囲での生活排水抑制への協力依頼を放送した。
一方、東京都の足立区、葛飾区、台東区の浴場組合連合会がこれら市町の住民に対し各区内の公衆浴場を無料開放すると発表。三郷市も彦沢、戸ヶ崎の両老人福祉センター、希望の郷交流センターの計3か所で入浴施設を開放するなど、協力の動きも広がった。