松伏町の介護予防事業の一つ「音楽健康クラブ」が4月20日からスタートし好評だ。9月28日までの全17回の講座に定員90人を大きく超える150人からの申し込みがあり、当初1日2グループ(1グループ定員50人)での講座を拡大し、1日3グループ(同)にし、希望者全員が参加できるようにした。予想を超える反響に関係者は驚いている。同町は最終日の9月29日に同町田園ホール・エローラでの初めての全員が一堂に集う合同練習会の「ミニ発表会」を予定しており、多くの住民に成果を披露する計画だ。
「音楽健康クラブ」は、音楽を用いて、脳トレや日常生活の動作を意識した筋力トレーニング、有酸素運動、ヨガなどを行う。どれもいすに座ったままできる。使用する楽曲の大半をピアノの生演奏で行っていることも特徴。
講師は同町金杉にある介護老人保健施設「なのはなの里」(大塚節子施設長)に委託。同施設のスタッフでもある、音楽健康指導士と理学療法士、認定音楽療法士の専門家が担当。認知症予防や健康増進、うつ・閉じこもり予防などの効果を得ることで、参加者の生活の質の向上を目的としている。
月2~4回、定期的に開催することで、「フレイル」(加齢により心身が老い衰えた状態)を予防するための「通いの場」としての役割も担っている。同クラブは2019年10月からスタート。参加者数は延べ2604人(今年3月18日現在)に上る。
同クラブで日常生活動作とリズムトレーニングを合わせたオリジナルの体操「音健リズム」は「なのはなの里」の理学療法士、大塚俊太郎さん(36)、大塚智美さん(36)が考案した。俊太郎さんは「まずは、運動に興味を持ってもらえるように、筋力と日常動作、持久力、リズム感を連動させ、1つの運動として実施しているのが『音健リズム』です。身体機能の向上を目的に行っています」という。
音楽健康指導士であり、「なのはなの里」施設長の大塚節子さん(62)は「参加者の皆様にとっても少しでも心がホッとする、笑顔になれる場所であり続けたいと思います」と話す。音楽療法士の向稔子さん(66)も「日本の唱歌から歌謡曲、洋楽まで幅広いジャンルの曲を使って、脳トレにもなるように工夫しています」という。
今年度の最高齢の参加者、臼井静子さん(93)(同町松伏)は「運動量も自分に合っていて、全然疲れない。音楽と一緒に体を動かすことで、脳の活性化にもなります。講師の方の話も面白く、毎回参加するのが楽しみ」と笑顔で話していた。
同町いきいき福祉課の坂巻正士課長は「音楽健康クラブは町のご近所さん体操、健康体操クラブと並ぶ、介護予防3本柱の一つ。いずれも好評で住民の関心の高さがうかがえる。今後も健康寿命を延ばせる施策として力を入れていく」という。
大人気!「音楽健康クラブ」・松伏、認知症に効果