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越谷市へ”産業遺産”寄贈・市内の旧家から大正期の看板など

2020.2.11(越谷市)
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 越谷市の旧日光街道沿いに残る珍しい「鉄筋コンクリート蔵」内に眠っていた、江戸時代のみそ醸造の看板やはんてん、みそ価格表、漆器など貴重な歴史資料約200点がこのほど、市民団体により、同市に寄贈された。市民団体は「越谷の産業の歴史を知る貴重な資料。多くの市民に公開する機会や施設を」と要望している。昨年4月の文化財保護法改正で、文化財を「地域社会全体で継承に取り組むことが必要」とされ、「活用」も重視されるようになった。同市には資料館はなく、建設予定もない。このため歴史資料をどう活用し公開するかが、大きな課題となっている。

 同市に寄贈されたのは、同市越ヶ谷本町の旧日光街道沿いに、鉄筋コンクリート造りの蔵を持つ都築家所有の歴史資料。

 都築家(初代・都築九右衛門)は、江戸時代の文化年間(1804〜18年)にみそ醸造・販売を創業し、1958年(昭和33年)まで操業していた。市内の市民団体「油長内蔵(ルビ・あぶらちょううちくら)運営協議会」(若色欣爾会長)が、コンクリート蔵に興味を持ち、独自に調査したところ、蔵の「設計図」が見つかり、蔵は1917年(大正6年)に建築された、同市最古の洋式建築物であることが分かった。

 同協議会は、旧越ヶ谷宿の旧家を拠点に市街地活性化を目指し、2017年に結成された。

 同協議会の調査により、蔵の中から、「最上味噌(ルビ・さいじょうみそ)」と書かれた木製の看板が見つかり、看板には「カネ田」のブランド名が書かれていた。また、大正時代のみそのラベルや「カネ田」マークが入った職人の印ばんてんも。1914年(大正3年)から20年(大正9年)まで、東京・上野で開かれた「東京大正博覧会」での「銅賞」の賞状もあり、都築家の「麦みそ」の品質の良さを裏付けている。

 これらの保存状態はきわめてよく、同協議会は広く市民に公開できるよう、同市への寄贈をあっせんした。都築家7代目の良二さん(76)は「蔵には金庫があり、金品を保管していた。看板やはんてんなど、価値もわからず処分に困っていた。協議会の協力で寄贈できたのは大変光栄」と話す。

 同協議会の若色会長(73)は「江戸時代、麦みそが越谷の特産品だった歴史がわかった。貴重な歴史資料は、多くの市民の目に触れることが重要。市は市民に公開する活用方法を検討してほしい」と要望している。

 これらの資料は現在、同市南荻島の旧荻島公民館で保管されている。同市教育委員会の福田博・教育総務副部長は「今後、市民団体とも連携して発表する機会を設け、文化財の保護に取り組む」と話している。
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