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独創的な”カラー書道”・「雅心会」彩色和紙に浮かぶ墨痕

2020.1.6(草加市)
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 緑色や紫色の背景から見事な墨字が浮かび上がる――。草加市柿木町の総合福祉センター「であいの森」1階ロビーで、珍しい書道の作品展が開かれ、来場者の目を楽しませている。同市西町の書道家、金子磯峰(きほう)さん(83)が主宰する書道研究会「雅心会」の作品展だ。心を込めて書き上げた作品を、多くの人に見てもらうために、書の背景の一部を着色する方法を考えたという。「とにかく作品を見てもらうことが、書の上達につながる」と金子さん。カラーと墨字の調和が不思議な世界を醸し出し、見る人を引きつけている。作品展は19日まで。

 展示されている作品は、同会の会員17人が書き上げた18点。いずれも、「東京判」と呼ばれる縦101・3、横27・3aの紙に、漢詩の「楓葉酔霜紅」などの漢字が墨痕鮮やかに力強く書かれている。

 とりわけ目を引くのが、文字の背景の部分。文字を書いた後に、緑や紫の顔料を使って、大きめの平筆のタッチを生かした縦線や横線、斜線のほか、文字の後ろに円を描いたり、筆の穂先を生かして、竹などを描くなどして、各自が独創的な彩色をほどこしている。

 こうした“色付け”により、白黒だけの世界は一気に華やかさを増し、通常の書道作品とは、ひと味違った作品に仕上がっている。

 入会して3年目という野村一雄さん(76)(同市金明町)は「大きな文字を書くことで自分の下手なところがよく分かる。文字の独創性や背景色のきれいさ、バランスなど文字を理解し、考える個人のセンスが現れるのがおもしろい」と話す。

 この独創的な作品展を企画した金子さんは「会のメンバーは60代以上の人が多いが、高齢にしては力強く素晴らしい文字を書く。少し直せば見違えるほど上手に書ける方も多い」と言う。

 文字の背景を着色することを思い立ったのは、「それぞれが努力した成果として、展覧会や展示会があるけれど、あまり見向きもされない」ためという。

 「来場者の目に留まる工夫が背景の着色。書道界では邪道だろうが、情熱をもって書き上げた作品を見て、その心意気をぜひ感じてもらいたい」と話している。
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