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変わる広がる!「子ども食堂」・学習支援や地域交流の場に

2019.1.7(越谷市)
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 「ただいま」「お帰り」――元気な声が古民家に響きわたる。ここは、越谷市越ヶ谷本町の旧日光街道沿いにある「こどもcafe食堂・ぽらむの家」。毎週月曜の夕方の光景だ。 貧困や“孤食”対策として全国各地に生まれた「子ども食堂」が今、変わりつつある。「食」にとどまらず、学習支援や地域住民のサロンとしての役割を担い、誰もが気軽に立ち寄れる「地域のコミュニケーションの場」に発展している。こうした状況を受けて県は3月、越谷市内の県営住宅集会所を改修して、「子どもの居場所」を開設する。常設の子ども食堂のモデルケースにとの狙いもあり、県営住宅の活用としては全国初の試み。多様化する子ども食堂を紹介する。

 県内には、123か所の子ども食堂がある(昨年10月現在)。越谷市の「ぽらむの家」は、木造2階建て、延べ床面積295平方bの古民家をリフォームして昨年4月オープンした。運営は主婦のグループ「越ヶ谷子どもcafe食堂」(青山享美代表)。「ぽらむ」は韓国語で「やりがい」の意味という。

 幼児から小中学生、高校生、母親らのほか、50代の父親まで毎週月曜に50人もが集まって来る。青山代表(43)ら小学生の母親ら6人は2年前、自治会館で子ども食堂を始めた。これが大好評だったため、放課後の居場所、学習支援もできる「居場所」を目指して、改築費用を出し合ってスタートした。

 食材は、市内の農家からも提供してもらっている。記者が訪れた日のメニューは回鍋肉(ほいこーろー)に、ぎょうざ、山芋のバターソテー、大学芋のけんちん汁。料理担当の3人が、50人前を手際よく調理していく。「野菜はすべて農家からのいただき物。本当に助かります。育ちざかりの子どもたちなので、栄養のあるメニューがメイン。『おかわり』してくれるとうれしい」と田島明子さん(47)。

 夕方6時頃、児童や保育所帰りの親子ら「食堂友達」が集まる。「ビュッフェ」形式で、和室のテーブルで皆が膝をつき合わせて、食べたいものを食べたいだけ食べている。一食の料金は大人300円、子ども100円。にぎやかな会話と笑顔が絶えない、子ども食堂には、和やかで温かい空気があふれている。

 毎週通う中井優杏さん(10)(越谷市立城ノ上小4年)は「いろんな人が集まっていて、楽しい。ごはんもすごくおいしい」と言い、一瀬涼々菜さん(10)(同)も「学校以外の友だちと出会えるのでが楽しい」と笑顔で話す。育休中の会社員、鈴木良子さん(33)は0歳、2歳、4歳の子どもを連れて初めて訪れた。「知り合いから聞いて知った。温かい食事だけでなく、先輩お母さんたちの話も聞けるので楽しい。毎回来たい」と楽しそうだ。

 青山代表は「地域のお母さん、お父さんのたまり場になればと思う。多様な人たちに、多様な形で関わってもらい、『子どもは地域で育てる』ことを実現したい」と、子ども食堂の将来に期待をかける。


 県は今年3月、越谷市下間久里の「県営越谷間久里住宅」の集会所を改修して、子ども食堂や学習支援をするための「子どもの居場所」として提供する。運営は同市のNPO法人「地域こども包括支援センター」(野口和幸理事長)。

 各地に広がる子ども食堂だが、多くが「常時オープン」の場所確保に苦慮しており、全国初のモデルケースにしたい考えだ。

 運営する同支援センターは、同市越ヶ谷で常設の「越谷こども食堂」を運営しており、新しい「子どもの居場所」では、そのノウハウを生かし、専任職員やボランティアを募集して運営する。

 計画では、当面週3日(月、水、金)に開設。宿題や自主学習、読書などボランティアがサポートする「学習」を中心に、食事も提供する。調理はボランティアスタッフが行う予定。

 野口理事長(51)は「埼玉県子ども食堂ネットワーク」の代表も務める。同ネットワークの調査によると、県内の子ども食堂は一昨年より約62%も増えた。しかし、「経済的困窮」を利用条件にしている食堂は21・8%で、78・2%が特に条件を付けておらず、84%が子どもや保護者に限らず誰でも食事できる形としている。当初と比べ、多様化しているのが分かる。

 野口さんは昨年4月、子ども食堂の食材を積極的に募る「フードドライブ」を考案した。企業の事務所や店舗に「寄付の箱」を置いて余った食品を持ち寄る仕組み。野口さんは「フードドライブはものすごい勢いで広がっている。大手のコンビニやスーパーも始めた」という。子ども食堂の方向性について野口さんは「地域性もあり、全県に広がるのは難しい面もあるが、県営住宅の取り組みを含め、多世代交流の居場所作りを目指したい」と意欲を燃やしている。
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