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日舞で芽吹く和の心・保育園で伝統文化学ぶ

2018.1.1(越谷市)
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 グローバル化が進み、外国人観光客が急増する現代。日本固有の文化への関心も高まっている。そうした中、越谷市の保育園では6年前から、「幼い時に伝統文化を体験しよう」と、4、5歳児が「日本舞踊」に取り組んでいる。指導するのは、東京藝術大学音楽学部邦楽科卒業生による若手日本舞踊家集団「藝○座」の人たち。園児約100人が、「若とかぐや姫プログラム」と名づけた月2回の授業で、浴衣姿に花笠を持って踊る。3月の晴れの発表会目指して――。


 保育園での日本舞踊導入という全国的にも珍しい試みをしているのは、越谷市越ヶ谷の越谷保育園と同市増森の第二越谷保育園。きっかけは、両園理事長の遠藤進さん(70)が、NPO法人「越谷市生涯学習民間ネットワーク協会」理事長をしていた時、「藝○座」公演を同市内で開催し、若手舞踊家たちの創作舞踊にいたく感動したこと。

 「子どもたちに、ぜひ舞踊の魅力を伝えたい」―遠藤さんのたっての願いを若手舞踊家たちが快諾し、2011年から、4歳児(年中)と5歳児(年長)への舞踊指導がスタートした。女の子だけでなく、男の子にも興味を持ってもらおうと、日本舞踊授業は、保育士らのアイデアで「若とかぐや姫プログラム」と命名された。

 講師を務めるのは、「藝○座」のメンバーで「藤間流勘右衛門派」師範の4人。年中、年長に分かれての月2回の授業は、それぞれ約30分。全員が浴衣を着て、保育士たちが手作りした花笠などの小道具も使う。

 「指の先まで真っすぐ伸ばして」「顔は正面に」「腕は曲げないで」と毎回、厳しい指導が続く。年中は「関の小万」という藤間流の基礎的な曲で、花笠を手に稽古している。一方の年長は、講師の藤間豊彦さん(35)が作ったオリジナルの「台詞」と「おつかい奴」に取り組む。

 「台詞」は越谷の地名を入れ、沿線の草加、北千住、上野までをうたう歌舞伎調の日本のリズム。「おつかい奴」は古典の「奴」の踊りを子どもが踊れるようにシンプルにアレンジしたものだ。

 普段騒がしい園児たちも、稽古中は静かに真剣な表情で踊る。きびきびとした立ち振る舞いは日頃の稽古の成果だ。

 年中の増形航大君(5)は「いろいろなポーズをするところが難しいけど、踊りはすごく楽しい」とすっかり踊りが気にいった様子。冨沢みなみちゃん(5)は「足と腕を反対に出すところが難しい。踊りの最初のポーズが得意で好き」と笑顔で話す。

 藤間豊彦さんは「踊りで、感情表現をしっかりできように基本を指導している。子どもは自分の『鏡』でもあり、弟子に指導する気持ちで指導している」と言い、同じく講師の藤間直三さん(25)は「日本人の文化をしっかり子どもたちに伝えたい」と話す。

 遠藤理事長は「日本の伝統文化と手先、目線を使った心の表現、そして礼儀を学んでもらいたいと始めた。子どもたちは着物に着替えてから、気持ちが入れ替わるのか、豊かな感情表現ができるようになった」と日本舞踊の教育効果に手応えを感じている。
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