Backnumber: 2008年10〜
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不登校児童生徒が減少・「小中一貫教育」

2017. 3.20 (八潮市)
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 八潮市は、児童生徒の不登校や非行解消を目指し、2006年、内閣府から「小中一貫教育特区」(構造改革特別区域計画)の認可を受け、学力向上はじめ、保護者や地域の理解、教員の意識改革などさまざまな取り組みを実践してきた。この結果、不登校児童生徒は県平均以下にまで減少し、基礎学力の達成度もほぼ県平均に近づく成果を出している。しかし、特に学力面での「思考力・判断力の向上」をはじめ、不登校解消や教員の一貫教育に対する意識面など、さらに克服すべき課題が多く残されている。特区11年目を迎えた同市は、今後10年を“第2ステージ”として、教職員や保護者らと連携して、一貫教育の実を上げていくとしているが――。

 同市はかつて、児童生徒の不登校や非行に悩まされてきた。不登校は06年当時、県平均の2・3倍で“県内ワースト1位”。

 要因の一つは学業不振と見た同市は、解決への道として、「小中一貫教育」を取り入れようと、内閣府に申請し、“施設分離型”の特区の認可を得た。市教委は「小中一貫教育指針準備委員会」を設置し、各校の教職員から「けいかく部会」「まなび部会」「こころ部会」「しえん部会」のメンバーを募って、具体策を検討してきた。例えば、「まなび部会」は学習の流れ(八潮スタンダード)の見直しと活用をしてきた。外国人語学指導助手(ALT)も初めて導入した。

 手探りのスタートだったが、翌07年の不登校児童生徒は前年の6割近くまで減少した。

 また、教職員らのアイデアで、「はばたきプラン」と名付けた保護者・地域向けのリーフレットを作成する一方、国語、算数・数学のオリジナル問題集「八潮Basic」や「生活・学習ガイド」を全児童生徒に配布し、、同教科の応用・発展的問題集「八潮BasicU」も作っている。携帯電話やテレビゲームをしない「ノーDAY」を学期ごとに数回実施し、6年生の中学校への不安解消や教職員の相互理解を深める「八潮ジョイント教室」など精力的に取り組んで来た。

 この結果、14年の「不登校児童生徒」は県平均以下まで減少し、基礎学力の達成度もほぼ県平均に近近づいたという。

 昨年度は全国トップレベルの一貫教育を行う秋田県小坂町の「小坂町立小坂小・中学校」に教職員を派遣した。視察だけだったが、今年度は同校で派遣教員が授業を行っている。派遣された同市立大原小の有賀裕太教諭(29)は「授業の到達点をイメージし、時間を割って明確に授業を進めることを意識するようになった。校内でも取り入れたい」と手応えを感じている。また、市立大瀬小の保護者は「中学進学の不安が大きく軽減された。児童生徒が共に活動する行事や授業が増えることを期待したい」と話している。

 同市教委は「今後、小坂町へは中核となる教職員を派遣していく。現場や保護者らの意見を大切にし、不登校の減少が学力向上につながるよう一層力を入れていきたい」(同市教委)としている。

 マイナスからスタートした同市の小中一貫教育。プラスに転じようとしている今、大きな正念場を迎えている。

(佐藤 龍一)
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