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「長期化」「高年齢化」が深刻に・県ひきこもり相談サポートC

2017. 2.20 (越谷市)
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 越谷市千間台東の「埼玉県ひきこもり相談サポートセンター」の相談件数が、2015年11月の開設以来、今年1月までに977件に上っている。特に深刻なのが、ひきこもりの「長期化」と「高年齢化」。同センターに寄せられた相談の当事者924人中、34人(7%)が「20年以上」にわたってひきこもっており、40歳代で30年以上もひきこもっている人もいることが分かった。同センターは「共に生きるの考えで、当事者目線を大事にしながら対応していきたい」としているが、問題を重視した越谷市保健所は、不登校の児童生徒が、「ひきこもり」になるケースが多いことから、校長会などに情報提供を呼びかけ、“義務教育後”の支援に力を入れていくという。

 同センターは、約20年前から独自に不登校やひきこもりの当事者や家族を支援してきた、越谷市内の認定NPO法人「越谷らるご」に県が委託して開設した。

 これまでの相談実績をみると、開設から今年1月までの相談件数は計977件。このうち、当事者は、男性が661人と圧倒的で、女性は263人となっている。相談者(電話と来所)は母親が435人と最も多く、次いで本人308人、父親119人と続く。ひきこもり期間は「5年以上10年未満」79人(25%)、「15年以上20年未満」24人(16%)で、「20年以上」も34人(7)%もいて、深刻な状況が浮き彫りになっている。

 当事者の年齢は20歳代が235人と多く、30歳代は144人、40歳代も61人おり、「高年齢化」が目立っているという。相談内容は「話を聞いてほしい」が232件と最も多く、「生活を改善したい」169件、「働きたい」142件などとなっている。

 同センターの鎌倉賢哉センター長(43)は「行政などの相談機関を経て、こちらに相談する方が多い。ひきこもりを否定的に見ずに、ありのままを受け止め、同じ目線に立つように心がけている。話をするだけで安心する方も多い」と言い、「課題は当事者や家族だけで集まれる『つどいの場』がほとんどないこと」と話す。

 相談員の一人、木村量子さん(63)は「家族関係をよくすることが大切と実感する。まず、お互いに会話ができる家族環境にすることが課題」と強調し、同じく、相談員の阿部啓司さん(55)は「人間関係で悩む人がほとんどなので、過度なプレッシャーを与えないように心がけている」という。

 一方、越谷市保健所・精神保健支援室での昨年度の相談件数は2437件。このうち、227件(9・3%)が「ひきこもり」に関するものだった。不登校から「ひきこもり」になるケースが多く、中には「40歳代で30年以上」ひきこもっている人もいることが分かった。長期ひきこもりの人は、小中学生の頃から始まっているため、同支援室の小野敦郎室長は「長期欠席をしている児童生徒の義務教育終了後の支援の充実を図ることが重要」とし、「卒業しても身近に相談窓口があることを学校で児童生徒に話してもらい、卒業後でも円滑に相談できる体制を作りたい」として、校長会などに積極的に情報提供するよう求めていくという。

 同保健所は、昨年度から実施している「ひきこもり家族のつどい」などの啓発事業で、対象者や家族の不安感の軽減や孤独感の解消を図っている。なお、同市教育センター(小林俊夫所長)によると、昨年度、越谷市内の不登校児童生徒は小学生34人、中学生は180人にのぼるという。中学生は市内全中学校生徒数の2・6%。

 「ひきこもり」支援の成否は、地域での相談対応のネットワークの確立とともに、行政などが当事者や家族が集える機会や場所をいかに提供できるかにかかっている。
(安部 匡一)
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