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市と市民団体で意見分かれる・旧潮止揚水場の保存巡り

2016. 7.18 (八潮市)
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 文化財はどんな方法で保存するべきか。八潮市二丁目にある「旧潮止揚水機場」の保存方法を巡り、八潮市と市民団体で意見が分かれている。同揚水機場は1929年、中川の水田に供給するために作られた。しかし、周辺の区画整理に伴い、02年に取水を停止して以降、放置されてきた。ただ、同市は、農業の歴史を後世に伝えるため、06年に揚水機場の「ポンプ」と「モーター」を同市登録文化財第1号として登録。同市は建屋を壊し、この場所にポンプをモニュメントにして展示し「ポケットパーク」として残そうと計画しているが、市民団体は「建屋と一緒に、国登録文化財に登録し、活用・公開を」と訴えている。同市は既に今年度予算で建物の取り壊し費用を計上し、議会で可決されており、今年度中に解体される予定だ。

 同揚水機場は、八条用水の末端で慢性的な水不足を解消しようと、国の許可を受け、作られた。同地区の農業生産力を飛躍的に向上させた施設。施設は「樋門」と「建屋」の構成で、建屋の中にはポンプ室・管理人室・変電室の3室がある。昭和の初めとしては最先端の施設だった。しかし、現在は周辺の区画整理などの整備に伴い、02年に取水を停止して以降、「立ち入り禁止」の札が柵に貼られている。

 同市は、06年に揚水機場の「ポンプ」と「モーター」を八潮市登録文化財第1号として登録。また、建屋に関しては国登録文化財に登録し、施設の活用・公開を検討したが、@多額の修繕費用が必要A将来に渡り持続可能な施設の運営・維持管理体制の構築B維持管理コストの負担など、解決しなければならない課題が多くあり、断念した。

 そのため、同市では、建物を取り壊し、揚水機場の「ポンプ」と「モーター」、それに歴史(地域に貢献した施設の整備経過や概要)を記した銘板を展示し、当該施設の果たした功績などを知ってもらう「メモリアル機能」を有した施設(ポケットパーク)を整備することにした。併せて、老朽化した建屋については2016年度の予算に建物の取り壊し費用を計上し、議会で可決された。

 同市では「市議会で予算の可決をいただいており、現段階で計画を覆す事は難しい。ただ、覆せる程の良い案を頂ければ、お互いが歩み寄るきっかけになるのでは」と話す。

 一方、これに対し活動団体「旧潮止揚水機場の保存と活用を考える会」(秋山憲禮、昼間良次・共同代表)の昼間代表は活動団体の昼間代表(42)は「建屋、樋門、ポンプとモーター、用水路が全て残っているため評価が高く、県指定文化財候補になり得る貴重な地域遺産なので、市や市民に再度考えてもらうきっかけになれば」と話している。
 同揚水機場設置を含めた同地区の耕地整理事業は、全国で初めて『耕地整理債券』を発行して、住民から資金を集めて建設された建物だったという。このため、同会では市内で、取り壊し中止と県指定文化財への登録を訴える署名活動を行い、7月10日現在、1800件を超える署名が集まっている。7月中には「旧潮止揚水機場」の具体的な活用計画を提示・提案する事で市に再度検討してもらう予定だという。
 「地域の歴史を後世に伝えていきたい」という思いは一緒だが、取り壊しが決まってしまった現在、歩み寄ることができるのか、今後の話し合いが目される。
 (佐藤 龍一)
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