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誘致へ市有地無償貸し付け・産科医院ゼロの八潮市

2016. 6.20 (八潮市)
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 八潮市は、つくばエクスプレス開業などで若い世代の流入人口が増え、出生率も上り、県内でも上位クラスだ。しかし、市内にはこの10年、産科病院がゼロとなっている。草加市や三郷市、東京・足立区など近隣市町に依存しており、「市内で出産したい」との要望が年々高まっている。こうした中で、市はこのほど、産科誘致のため「市有地の10年間無償提供」などの支援策を打ち出した。産科の医師不足は全国的傾向というが、同市の新たなこの誘致策が奏功するか、注目される。


 2005年8月のつくばエクスプレス開業以来、同市の出生数は伸び、14年度は747人で、人口1000人当たりの出生率は8.7(県内6位)。全国平均の8.0、県平均の7.8を上回る。近隣の草加、三郷、越谷市よりも高い。  市内で唯一産科のあった民間病院が、07年1月に産科を休止して以降、市内に分娩できる医療機関がなくなった。市は懸命に関係団体へ働きかけたが、産科医院誘致は実現しなった。市保健センター(市健康増進課)は、東京・足立区や葛飾区、草加、三郷など近隣の医療機関一覧をまとめ、市民に情報提供するにとどまっている。

 市健康増進課は、「妊婦健診を受けている市民の約半数が草加、三郷市で受診し、出産を予定している、と考えられる。市内で産みたいという要望や利便性に応え、開業してもらうための支援方針を決めた」という。  今回、市が打ち出した「産科誘致に係る支援方針」の内容は、@開設用地を10年間無償貸し付けするA候補地は市施行の「八潮南部東一体型特定土地区画整理事業」地内の市有地861平方b(同市南川崎、現在バス停留所として暫定使用されている場所)B10年経過後は、適正価格で譲渡または有償で貸し付ける―というもの。さらに、「建設費や設備費などの利子補給補助」として、年間1000万を限度に最大3年間補助する。

 支援条件は、「5床以上19床以下を有する産婦人科医院(分院含む)を開設する医師または医療法人」「開設後10年以上分娩を取り扱う産科医療を行う見込みがあること」「産婦人科または産科の臨床経験を5年以上有すること」「積極的に地域医療活動を行う見込みがあること」などとしている。

 「県医療計画」(13〜17年度)によると、同市が属する東部保健医療圏(県東部7市町)のベッド数は現在、「基準病床数(7402床)」を満たしており、医療法に基づく20床以上の病院は設置認可が下りない。このため、市は今後県と協議するが、19床の「有床診療所」として誘致していくという。産科誘致に金銭的支援をしている自治体は2、3あるものの、建設用地の無償貸し付けは全国的にも珍しいという。

 市健康増進課の大出久美子課長は「市内で安心して子供を産んで育てられるまちづくりへのステップとしたい」と話している。
 県医療整備課によると、現在、県内で分娩施設のない市は八潮を含め、志木、日高、桶川、久喜の5市。厚生労働省の調査では、県内の産科・産婦人科医師数は女性(15〜49歳)10万人あたり28・4人と全国最低という。「全国的に産科医が不足しており、産科誘致は、いかに地域の魅力をアピールできるかがカギ」(県医療整備課)というのだが――。                                GT(金子 貞雄)
                                (金子 貞雄)
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